けいこに余念がない劇団かがやき
山田千代子さん

 メンバーの平均年齢が75歳という全国的にも珍しい劇団がある。シルバーボランティア劇団「かがやき」だ。老人保健施設をはじめ、病院、介護のデイサービスが提供される場所に演劇を“出前”すること通算78回。年輪を重ねたメンバーの舞台演技に観客の熱い視線が送られている。そこで、劇団員の山田千代子さん(66)に同劇団の活動の現状などについて語ってもらった。
劇団「かがやき」のルーツは、平成6(1994)年5月にさかのぼる。名古屋市が高齢者対策の一環として開講した「60歳からの心と体をほぐす素人芝居」がそれである。受講後、「このまま解散してしまうのは残念だ」などの声が相次いだことから7年3月、その講座の受講生26人がシルバーボランティア劇団「かがやき」を結成した。劇団の名称「かがやき」は第二の人生を「輝いていたい」との思いからだ。同年6月、旗揚げ公演。演目は「夏の夜の夢・鴛鴦(おしどり)村あやかしの森 恋の道行」。シェークスピアの原作「真夏の夜の夢」を日本の時代劇風にアレンジしたもので、公演時間が約90分間もの大作だった。旗揚げ公演の緊張感からか、せりふを忘れてしまうことも。しかし、観客の暖かい声援に後押しされて、盛況裏のうちに初公演を終えた。
 同劇団の現在のメンバーは男性6人女性11人の合計17人。このうち劇団結成時からの団員も11人にのぼる。81歳から66歳の文字通りシニア世代だ。毎週木曜日午前中の約2時間、台本の読み合わせや立ちけいこなどに生き生きと汗を流す。名古屋市西区の生涯学習センターで開くこのけいこにはほぼ全員が参加する。
劇団員の山田千代子さん 生涯現役目標に
 山田さんが会長だった15年11月、舞台の背景となる絵幕を愛知県立愛知工業高校デザイン科に依頼、2枚を無償で制作してもらった。絵幕はいずれも縦2・5×横3・3mのサイズで、このうちの1枚は、客間にたんす、神棚などが描かれている。従来、公演活動をする中での悩みのひとつは舞台に設置するたんすなど大道具の搬送だった。「絵幕にすれば、こうした手間が省ける」との発案から同校に依頼したのだ。
 同劇団のレパートリーは、「水戸黄門漫遊記」「風流裏長屋」「かがやき版お江戸でござる」など10本を超える。日常における慰問活動の中心は愛知県内。「交通手段などが確保されれば、どこへでも出掛けます」と元気な答えが返ってきた。依頼先からは、水戸黄門にかかわる時代劇の要望が多いという。
 こうした地道なボランティア活動が認められ13年3月、地元の社会事業団が主催する福祉ボランティア賞を授与された。「これも活動の励みになった」と山田さん。
9月30日・名古屋市で公演
 今年7月、同劇団は10周年記念公演「かがやいて10年!シルバーハウス物語」(演出・劇団名古屋 ごとうてるよさん)を自主公演した。これに続き、30日(木)に名古屋市中区の中文化センターで「人情旅笠道中 花かんざしの巻」を公演する。入場無料。
 山田さんは「舞踊など芸事の原点はセミプロの民謡歌手だった父親から、ボランティア精神は人に優しかった母親から得たもの」と過去を振り返る。
 山田さんの願いは「生涯現役」。演劇にかける夢はますます膨らむばかりだ。
 同劇団は随時団員を募集している。加入資格は60歳以上であること。芝居に興味を持つ人であれば、経験は問わない。問い合わせは大河内利秋さんTEL052・501・7262へ。