指導者になっても練習を欠かさない飛田さん

 誰でも気軽に始められるハーモニカ。茂原市緑ヶ丘の飛田陽一郎さん(七八)は、定年後にハーモニカ指導員の資格を取得し、二百人ほどの生徒を指導しながら、慰問活動を続けている。
中高年生徒200人を指導
老人ホームへの慰問が人気
 飛田さんはアマチュア管弦楽団でバイオリンを担当していた兄の影響を受け、小学校一年生の頃からバイオリンとハーモニカを習っていた。サラリーマンとなってからも音楽への情熱は冷めず、いくつかのハーモニカバンドや管弦楽団で演奏を楽しんでいた。
 昭和五十六年に定年退職した後、飛田さんは市内に誕生したアマチュア管弦楽団のバイオリニスト兼初代団長となった。しかし、体力の限界を感じ、平成四年に退団。少年時代から慣れ親しんできたもう一つの楽器「ハーモニカ」に専念することに決めた。
 その後、「高齢者の生涯学習や生きがいづくりの手助けを」と、全日本ハーモニカ連盟、日本ハーモニカ芸術協会、ハーモニカ振興会などの認定指導員の資格を取得。十年前から講師になった。現在は、同市の「茂原カヨウエコーズ」や千葉市の「千葉ハーモニカクラブ」などで指導にあたり、生徒は中高年世代の五十代から八十代まで二百人ほど。教室では『シューベルトの子守歌』『悲しい酒』『下町の太陽』など、クラシック、演歌、歌謡曲とジャンルを問わずにチャレンジしている。
 飛田さんが「みんなが同じ楽器で同じ曲を演奏することで一体感が生まれ、教室の中ではとってもいいムード」と話せば、生徒でもある妻の勝子さん(七五)も、「楽しい先生なんですよ」と笑顔を見せる。
 今年七月にはリサイタルも行い、『帰れソレントへ』『トルコ行進曲』『ドナウ河のさざなみ』などを披露。「ハーモニカの真髄を見せた」と語り、喝采を受けたという。
 また飛田さんは生徒と一緒に、障害者施設、老人会、老人ホームなどへの慰問活動にも力を入れている。懐かしい音色が深く心に染みるのだろうか、演歌や歌謡曲に高齢者たちは涙を流すという。また、痴呆症のために無表情だった人が、歌い出すこともあるそうだ。
 「これからもハーモニカで、多くの人に音楽の喜びを伝えたい」と飛田さんは話している。