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松尾町に事務所を構えた阿部さん。
「弁護士過疎が少しでも改善
していけば」と語る |
夢実現 八日市場を足場に
「55歳からは、自分の好きなことをやりたい」−。千葉市在住で、千葉県弁護士会所属の弁護士・阿部清さん(56)が第2の人生に選んだのは、弁護士過疎地である八日市場地区での弁護活動だった。
北九州市出身の阿部さんは法曹の世界を目指し、中央大学法学部に進学。27歳で司法試験を突破し、東京の弁護士会に6年所属した。その後、「自分の得意分野をつくりたい」と、コンピューター・ソフトウエアの会社に入社。コンピューター・ソフト法務や企業間取引など、約20年会社員として法務関係を担当していた。
定年退職を6年後に控え、阿部さんはこのまま定年を迎えることに疑問を持ち始めた。「残りの人生は自分らしい仕事をして、好きに時間を使いたい。60歳を受け身で待つよりも、自分で決断して、自分で進んで行きたい」
妻の理解を得て、息子が独立した昨年3月、阿部さんは55歳で野村総合研究所を退職。再び弁護士業務を始めることになった。
阿部さんは退職する半年前、友人から日本弁護士連合会などが取り組んでいる公設事務所を耳にした。公設事務所とは日本弁護士連合会や各地の弁護士会連合会、弁護士会などが運営し、弁護士過疎の解消のために設置される法律事務所。
「自分が提供したいサービスはこれだと思った」
阿部さんは千葉市内にある「法律事務所大地」で1年間学び、ことし6月、人口11,000人ほどの山武郡松尾町のアパートに法律事務所を構えた。「日本は法治国家なのに弁護士が近くに居なくて困っている人がたくさんいる。すべての人が平等に法律を使えるように、役に立ちたい」。弁護士過疎地で活動したいという情熱を胸に秘めた55歳からの再出発だった。
依頼者の利益を一番に
住み慣れた千葉県内で始めた弁護士業務。経験が少なかった刑事事件を担当することも多くなり、都心では必要なかった自動車免許も取得。裁判所や警察署など東奔西走する毎日が続く。「一番多いのは債務のトラブルやサラ金問題。自分がどこまで依頼者の利益になるようなサービスを提供できるか。それを一番に考えています」
「依頼者の心を和ませられるような活動をしていきたい」と語る阿部さんの夢は、古民家に事務所を置き、畑を耕しながら、自然の中で依頼者と向き合うこと。「トラブルを抱えてしまった人に自然とかかわってもらい、人間の温かみを持ってもらいたい。殺ばつとした生活からは、殺ばつとした人間しか生まれないから」