 |
|
「ここ数年、ようやく落ち着いた生活ができるようになりました」と飯田さん
|
「日本から飲酒運転を追放したい」と、鎌ヶ谷市の主婦・飯田和代さん(60)が代表を務める「MADD Japan」=被害者支援団体。次女の死を乗り越え、飲酒運転の撲滅と意識の向上を目的に草の根活動を続けている。
1997年1月4日。次女みづほさんは、勤務先のホテルから帰宅途中、交差点で猛スピードの飲酒運転する車にはねられ、命を奪われた。当時20歳のみづほさんは当日、同僚に「お姉ちゃんの誕生日を祝うの」と話していたという。しかしその声は永遠に届くことはなかった。「水泳の指導員という夢や恋愛、結婚。2週間後に21歳になるはずの彼女の未来が、一瞬にして奪われました…」と飯田さんは言葉を詰まらせた。
加害者は正式起訴されず、業務上過失致死罪などで略式起訴。罰金わずか50万円で釈放された。警察庁長官や千葉地検検事正に再捜査を訴えたが、願いは叶わなかった。
司法に対する絶望感と悲しみで、事故後は抜け殻のような日々。娘を守れなかった自分を責め、いつもの帰宅時間になると車にセーターやコートを積んで駅で帰りを待つこともあった。
「必ず帰ってくると信じていました。しかしある程度の月日が経つと死を認めざるを得ず、気持ちが落ち着いてくると自分のすべき道が見えてくる。そんな時にインターネットで『MADD』に出会ったのです。”飲酒運転は過失ではなく犯罪”という言葉に衝撃を受けました」
大学生もボランティア
被害者の母親が集まり、80年に米国で誕生した被害者支援団体・MADD(Mothers Against Drunk Driving)。飲酒運転の撲滅と飲酒に関する青少年への防止教育など、その使命に共感した飯田さんは、ホームページの翻訳を始め、本部との交流を図る。98年には日本の活動認可書を授受され、「MADD Japan」を設立、02年にはMADDファミリーのオフィシャル資格を取得した。
「飲んだらハンドルを握らなければいい。飲酒運転は100パーセント防げる犯罪です」と声を大にし、犠牲者の死を悼む「キャンドルライト集会」や、高速道路のパーキングエリアで犠牲者の血の色を表わす赤いリボンを配るキャンペーンを展開しながら、飲酒運転の犯
罪性を訴えている。昨年の道路交通法の改正で罰則が厳しくなり、飲酒運転は確実に減りつつある。しかし、いまだに居酒屋には駐車場があり、職業ドライバーの飲酒事件・事故は後をたたない。
近年は大学の講義で青少年への飲酒運転の凶暴性を訴える。そして飯田さんの活動に賛同した大学生が鎌ヶ谷市南初富の本部に集まり、ボランティアで活動を行っている=写
真。多くのシニアメンバーも活躍し、彼らはMADD Japanを全国7拠点とし、ネットワーク作りに手腕を発揮。東京支部に続き、今月26日には札幌のスキー場で北海道支部の設立式典を行う。
「最初はみづほと同じ年頃の子たちを受け入れられなかった。けれど彼らに話すことによって犯罪防止につながり、自分も癒されていることに気づきはじめました」と微笑む。「ゼロにしなくちゃいけない。しかし人間はさまざまだから時間はかかるかもしれない。娘の悲劇が教訓になり、多くの人にこのメッセージが伝われば」
本部事務局 TEL 047・444・9824
http://www.maddjapan.org