2002年(平成14年)7月20日
三重県南勢町の五ヶ所港内の
海遊人マリーナにゴールした羽山さん

 定年退職後に、ヨットで太平洋を単独横断した木更津市大久保在住の元会社員・羽山泰夫さん(68)が、79日にわたる航海の記録をまとめた体験記「貿易風を突っ走れ!〜シルバー世代のおっかなびっくり冒険野郎」(ネコ・パブリッシング刊・1600円)を出版した。
 羽山さんは館山市生まれ。太平洋を見て育ち、東京水産大学(現東京海洋大学)ではヨット部に所属。子どものころから海へのあこがれが強かった。卒業後は漁網の製造会社や県の水産課を経て、大手繊維会社に勤務。定年を控えた羽山さんは、抱き続けた夢を実現したいと、アメリカでヨットを買って太平洋を横断しようと決意した。
 1996(平成8)年に定年退職後、ジムで体力づくりをし、警備員のアルバイトで資金を稼いだ。船や航海の書物を200冊以上読み、無線の学校に通い、通信講座で気象を学んだ。周囲には反対されたが、海への尽きぬ情熱を知る妻の美智子さん(62)は夫の挑戦を理解した。
 02年2月、保険と株を売却してヨット購入資金をひねり出し、アメリカのメーカーに船を発注。安定していて、居住環境もいい7メートル超のヨット「Yassou」を手に入れた。必要最低限の備品や燃料、食料を積み込み、4月14日にカリフォルニア州を出港。独りぼっちで大海原に挑み始めた。
 日の出と日の入り時刻に海図に位置を出すのが日課。好きなときに寝て、目標ポイントに到着したらウイスキーを飲んだ。
 自由だが、24時間いつも不安。大しけで眠れず、朝が待ち遠しい日もあった。しかし孤独はない。「航海中は何もかも自分でやるので、忙しかった」。7月3日には父島に、同20日三重県・五ケ所港に到着した。
 羽山さんの体重は3キロ減少。真っ黒に肌は日焼けした。「やりたいことをやらせてくれた妻、応援してくれた仲間に感謝しました」
 克明なデータや家族への思いをつづった同書には、海鳥のふん害、ハワイでの滞在、日本に近づくにつれ海上に増えていくごみ、美しい夕暮れの模様なども描写されている。「孫や子孫に自分の体験を伝えていきたいし、今後ヨットで海を渡りたい人の参考になれば」
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