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| 休日は外の風景を楽しんだり、美術館へ行く…と稲見さん(右)漫然と生活するのではなく、目標を持って提灯作りに取り組んでいきたい…と鈴村さん(左) |
お盆が近づき、そろそろ玄関先や仏間に提灯(ちょうちん)を、という家も多いのではないだろうか。提灯の透き通るような和紙に描かれた花や鳥、秋の七草―あかりがともるとそれらは美しく浮かび上がるだけでなく、わたしたちの心にもほんのりと優しい灯をともす。「体が続く限り、少しでもいい作品を世に残したい」。芸術的な技で知られる岐阜提灯の伝統工芸士・稲見繁武さん(69)と鈴村昭夫さん(53)が、提灯作りのプロセスや、職人としての心境を語った。
美濃地方で提灯作りが始まったのは、宝暦年間(1751〜1763)といわれている。それが盛んになった背景としては、上質な和紙や竹に恵まれた土地であったことが大きい。代表的な型は「丸型」と「卵型」で、秋の七草や花鳥、風景が描かれた上品な作りが特徴とされる。熟練した技術と、細やかな作業が求められる提灯作りは分業制。ひとつの提灯には、各工程のプ口による卓越した技が結集しているのだ。
稲見さんは、「刷り込み」と呼ばれる絵付けを専門に50余年。刷り込みとは、型紙を使い和紙や絹に絵を刷り込む方法だが、実は絵を刷り込むまでが大変な作業の連続なのだ。まず、原画をもとに型を切る。型は部分ごと、色の違いごとに1手(枚)だが、例えば菊1つでも、立体感を出すには複数枚の型を切って刷り分けることになる。1種類の提灯を作るのに、多いもので120手の型を切ることも。絵の刷り上がりは、この型にかかっているため「型は無心で一気に切ります。切り終えたときには、本当にホッとします」と稲見さん。
提灯文化を次の世代に
全体の色を決めるのも刷込師の重要な仕事。わずか11種類の顔料から、多種多様な色を生み出さなければならない。色が決まると、型ごとに専用のはけで色をつける。長年培われた手加減で、ぼかしなども次から次へと同じように入れていく。自宅での作業が中心だが、年に数回、東京のデパートや内覧会での実演も。「この前買ってくださったのが、国際結婚された方で『ミラノヘ持っていく』って。お客さんに喜んでもらえると、続けてよかったと思います」
一方、提灯の型を組んでヒゴを巻き、刷り込まれた絵紙を張り付けるのが「張り師」と呼ばれる鈴村さんの仕事。0.5ミリほどのヒゴを、らせん状に同じ加減で巻くのはかなり難しい。また、実際には一枚ずつ張る絵紙の継ぎ目を目立たせず、まるで1枚の紙を巻き付けたかのように見せるのも、長年の経験がなせる技。のりの付け具合といい、余った部分をカミソリで切り落とす作業といい、その集中力と繊細さには、ただただ驚くばかりだ。
幼少のころから図工が好きだったため「何げなく入社した」という鈴村さんだが、37年たった今では「わたしたちの先達が積み重ねてきた提灯の技術と文化を、次の世代にしっかりつなげていきたい」と語る。問い合わせは(株)オゼキまでTEL058・263・0111