植田豊秋さん(右)と奥さんの仲子さん(左)
中央公民館入り口に飾られた盆栽クラブのミニ寄せ植え

 東茨城郡小川町。昔からの農村畑作地帯で、酪農飼料作やニラの作付けが盛んなこの町はさまざまな文化活動が行われている。現在は芸術・芸能・生活文化・自然園芸・人文の五部門、合計三十四の団体があり、多くの高齢者が積極的に参加している。その団体の一つ、盆栽クラブの会長を務める植田豊秋さん(七一)は大の盆栽好き。自宅には玄関から棚の上まで、所狭しと自慢の盆栽が飾られている。(芳賀)
地図で下調べをしてから出向いたものの、何度か道を尋ね、ようやく東茨城郡小川町の役場にたどり着いた。鎌倉時代に城が築かれ、江戸時代には水戸藩の運送庁や御用河岸があったという歴史ある街並みは、細い通 りが上がり下がり、くねくね曲がって分かりにくいのが印象的。産業振興課から教委生涯学習課、中央公民館と順に訪ね、町文化協会副会長で盆栽クラブの会長でもある植田豊秋さんにお話を伺った。
 植田さんの自宅を訪ねると、玄関や物置の屋根の下、壁、棚などに飾ってある何百という盆栽の鉢、鉢、鉢。ほかにも収集した骨とうや素材など数え切れない品々が置かれている。どれ一つ見ても様になり、その存在を主張しているかのようだ。

中央公民館嘱託職員の川島先則さん
 植田さんは三十五年間、町内で電器商を営んできたが、六十歳を機に店を息子に譲り、自身は盆栽作りに励むように。もともと、植物は好きだったし親の植木好きを見て育ったことに影響を受けたという。手掛ける盆栽は、以前はサツキが多かったが、今は盆菊や野草、ミニチュアの寄せ植えなどに凝るようになった。
 「電器商を営んでいたころ、営業で町内の家庭を一軒一軒回ったのが今の活動に役立っている」と話す植田さん。内助の功もあるのでは、と奥さんに水を向けると、「主人が不在のときに水をやるくらい」とつつましやかな返事。一方、植田さんは「好きなことは人に任せたらだめ。楽しみなんだから」と無邪気に話す。
 町民の文化活動を裏方で支援しているのが役場の職員であり公民館の嘱託職員でもある川島先則さん(六四)だ。三十年以上、教職を務めたことから町の人々を良く知っており、各種活動参加者との信頼関係も深い。行政と町民を結ぶコーディネーターとして資料作りから交渉、調査、講師まで引き受けるなど八面 六臂(ろっぴ)の活躍ぶり。
 町内の文化活動はすべて文化協会が統括している。公民館の各種講座・コースは二十三を数え、同好者募集の案内には三十三ものグループが名を連ねる。
 小川町はもともと、農村畑作地帯で、酪農飼料作やニラの作付け、平地林などが多い。大規模納豆工場が地場産業として発展していたり、自衛隊の百里飛行場の官民共有化が進められようとしている。
 歴史的背景や自然、立地条件もあるが、動くものの中からこそ何かが生まれる。活動し、それらを生かす人材があって、その人々が楽しみながら協力することで、その地域ならではの文化が生まれる。天の時、地の利、人の和の三拍子がそろうことが大切だと感じた。
 小川町の文化活動についての問い合わせは、町役場教育委員会生涯学習課TEL0299・58・4526