「日本伝統の浴衣や手ぬぐいを見てもらいたい」と話す松岡さん

 浴衣は夏の風物詩─。6月4日(土)から7月3日(日)まで日立市宮田町の日立市郷土博物館で特別展示「昭和の型染─型紙にみるゆかたと手ぬぐいの模様─」が開催された。浴衣、手ぬぐい、ふきん、お膳掛けやその型紙など、同展には約100枚が展示、館内は多くの人たちでにぎわった。
日立市の松岡秀哲さんが収集
大量生産が可能に
 展示されていたのは、「注染」(ちゅうせん)と呼ばれる技法の型紙で、これは大正時代の半ばから東京で浴衣を染めるのに取り入れられたもの。「注染」技法により大量生産ができるようになり、表情豊かな模様は、庶民の衣料文化を表し、型紙に微細な模様を彫る技術は伝統的な職人たちにより支えられていた。
 同博物館で展示された型紙や浴衣、手ぬぐいなどはすべて日立市東金沢町の松岡秀哲さん(83)が収集したものである。
感じさせない古さ
 松岡さんは、東京都旧谷中真島町の太平洋美術学校を卒業後、兵役に従事。帰国後、1951(昭和26)年から64年まで、東京都足立区の染色工場で浴衣や手ぬぐいを染める仕事に従事した。現在、松岡さんは、茨城県自然観察指導員や山野草の会「ホトトギス茨城会」の会長などで幅広く活躍している。

表情豊かな模様
注染技法の型紙

 水戸市小吹町の水戸市植物公園で行われた「ホトトギス茨城会」の山野草展示会で、松岡さんが所有している植物模様の浴衣や手ぬぐい型紙を展示した時、水戸市植物公園の西川綾子園長の目に留まり、01年、水戸市植物公園で「昭和のゆかたと手ぬぐいにみる植物模様」を開催。このことが今回、同博物館で特別展示が行われるきっかけとなった。
 特別展示に東京日本橋から駆け付けた浴衣・手ぬぐい問屋の小林永治さんは、「古いものをよく持っておられるのには驚きました。関東大震災で店にあった型紙が焼けてしまいましたので。デザインが古さを感じさせません。若い人たちに見てほしいです」。
 学生たちと実習の一環として訪れていた日立市大みか町の茨城キリスト教大学非常勤講師諸星政得さんは「伝統技術を伝えていきたい。見ていると心が落ち着きます」と話す。
「昔のよさを」
 日立市郷土博物館学芸員の島崎和夫さんは「型染の文様には、大小があり、浴衣には中型の文様が使用されています。今でも使える模様がたくさんありますが、現在ののりでは、染められないものもあり残念です」と話し、伝統芸術をたたえる。
 松岡さんは「これだけ多くの型紙を長い間掛かって収集していたことが幸いしました。日本伝統の浴衣や手ぬぐいが新しい形でよみがえってきています。昔の良さを見てもらいたい」と話している。
 問い合わせは日立市郷土博物館TEL0294・23・3231