平成十二年の「清峰会」二十周年記念チャリティショーで歌う高橋さん(前列中央)
高橋清峰さん

「さんさ時雨か 萱野の雨か 音もせで来て濡れかかる ションガイナ」といえば宮城民謡「さんさ時雨」。祖母の歌うこの曲を聞いて育った高橋清峰さん(七〇)は、自衛隊から民謡の世界に飛び込んだ異色のキャリアを持つ民謡家。現在は東京都東大和市に住み、日本郷土民謡協会の常務理事を務めるなどの活躍ぶりだ。今月末には高橋さんが理事長を務める「宮城県民謡民舞大会」も東京で開催するなど宮城の民謡振興にも熱い思いで尽力する。

 昭和八年、遠田郡田尻町に高橋さんは九人兄弟の四男として生まれる。本名は孝。一杯飲むといつも口ずさむ祖母の「さんさ時雨」を聞きながら、兄弟で競うように民謡を覚えた。「戦後間もなくで何もない時代。近くの加護坊山に登り、兄弟と民謡を歌うのが楽しかった」と高橋さんは当時を振り返りながら語る。昭和二十六年に半農半商を営む実家が火事で全焼すると、兄弟の多かった高橋さんは、やむなく自衛隊に入隊することに。「家にもいられず就職難の時代だった」という。十九歳のときである。
 入隊後、釧路駐屯地に赴任。何もない山の中で娯楽も乏しく、故郷をしのぶ思いばかりが募った。郷愁を慰めようと配属された部隊で民謡愛好会を結成。隊員同士で互いの民謡を批評し合った。
 昭和三十三年に東京へ異動となり、市谷駐屯地勤務に。東京が六十年安保で揺れた時期には任務を全うすることに奔走し、民謡どころではない日々が続いた。激動の時代が過ぎ、昭和五十三年に防衛庁内で民謡クラブを結成、その三年後には同クラブを発展解消し、自らの雅号を冠した「清峰会」を結成することになった。
 昭和六十一年、三十三年間勤務した自衛隊退職を機に、第二の人生を民謡にささげようと決意。しかし、これまで好きで続けてきた民謡ではあったが、本格的に民謡の世界に入るのはこれが初めて。「この世界のしきたりも知らず、先生やお弟子さんも全員が先輩という環境で困惑することばかりだった」。そこで、高橋さんは「経験がない」ことを逆に生かすことに。特に自衛隊で培った組織作りと人材育成の能力が、その後の日本民謡界に新風を巻き起こすことになるとは当時の誰にも想像できなかった。
 高橋さんが民謡界に飛び込み十三年が経過した平成十一年、日本郷土民謡協会多摩地区連合会の大会で、高橋さんが会長を務める東大和市民謡連盟が八部門中、七部門に優勝するという快挙を達成。同時に、合唱部門では十連覇という偉業を成し遂げるなど同連盟創立以来の大記録を樹立した。「自分自身が我流で民謡を始めたから、『盗んで覚えろ』の伝統芸的な指導方法ではなく、基礎から教える徹底した指導方法が功を奏した」と高橋さんは成功の理由を語る。
 こうした功績から日本郷土民謡協会から功労賞を受賞。それを機に民謡を通 して故郷宮城に貢献しようと平成九年には「在京宮城県人民謡民舞協会」の結成を呼びかけ、七百人を超える賛同者が高橋さんのもとに集結。二十四日(日)には東京・台東区にて「第六回宮城県民謡民舞大会」も開催。およそ二百五十人が参加し、宮城民謡を競い合う。
 「宮城の民謡は、その地域性を反映してか暗く生活の苦しさを歌うものが多い。それでも、故郷で歌ったあの楽しさを忘れることはない」と高橋さんは故郷への思いを語る。
 宮城に生まれ、異色のキャリアから日本民謡界に新風を巻き起こす高橋さんは、今後も宮城の民謡を歌い広めていく。
 問い合わせは高橋さんまでTEL042・561・5577

シニアネット仙台の緑川斐雄事務局長

PC教室好評 
 行くところがある、会う人がいる、することがある−。こんなキャッチフレーズで「活力に満ちた高齢化社会づくり」を目指しているNPO法人「シニアのための市民ネットワーク仙台」(通 称・シニアネット仙台、大内秀明理事長)は多彩な活動を行っている。
 シニアネット仙台は、平成七年五月に仙台市で行われた高齢問題を考える国際シンポジウム「築こう豊齢社会・杜(もり)の都の挑戦」の参加者を中心に同年八月に結成された。現在会員は約三百八十人。
 同会の特徴は、さまざまな活動がひとつの組織内でネットワークを形成している点。「三人集まれば分科会ができる」(緑川斐雄事務局長)というように、同会の下に、ボランティアやパソコン教室など多数のグループがあり、連携しあっている。平成十一年にはNPO法人の認証も受け活動が本格化した。
 活動グループのひとつが「PCサロン」。同サロンが開催するパソコン教室は、「民間の教室に通 っても分からなかった」というシニア層の声を受けてマンツーマンで丁寧に指導する。分からない所を自分のペースで学ぶことができるので大好評だ。また、東北で唯一という音声パソコンを使用した視覚障害者用の教習も実施している。同サロンのほか、現在同会には、およそ二十ものグループができておりそれぞれが活発だ。
 「瑞鳳殿」などの仙台市内の観光地に出向きガイドをする観光ボランティア「ぐるーぷ・よっこより」は、その活動が評判を呼び、大手旅行会社からガイドを委託されることもしばしば。
 シニア世代に根差した同会の活動は、他県からも注目され、高齢者問題を施策に反映させようと和歌山市や山形県鶴岡市の職員らが見学に来たことも。
 「(同会には)年齢、職歴などさまざまな人材が『元気な高齢化社会』という目標を目指して知恵を出し合っています。組織の運営などまだまだ模索中ですが、まず私たちの活動内容を知ってもらいたい」と緑川事務局長は話している。
 同会への問い合わせは事務局TEL022・266・5650、ホームページはhttp://www.sendai-senior.org/