| 出席者 |
| 本田 和弘 56 仙台市太白区 |
| 小野寺 勲 59 仙台市泉区 |
| 深見 勝成 60 仙台市泉区 |
照井 栄一 59 仙台市泉区
=南中山市民センター館長 |
| (敬称略) |
|
会社を定年退職した後どうするのか−。世のサラリーマンにとっては頭の痛い問題だ。このところメディアは定年後都会暮らしを捨て、田舎で農業を始めた男、あるいは自ら早めの定年を選び、趣味だった陶器づくりに専念する元サラリーマン−などの例を紹介し、定年後を積極的に生きようと盛んに呼び掛けている。しかし、大多数の「定年族」や定年を間近に控えた「定年予備族」にとっては「ことはそう簡単じゃない」のが実情。仙台市の南中山市民センターが開いた「グッバイ定年」を受講した3人と主催者側に講座終了後集まっていただき、男たちのセカンドライフを語ってもらった−。
|
| 元気いっぱいの4人。前列左から小野寺さん、照井館長、後列左から本田さん、深見さん |
同講座は55歳から60歳前後の市民が対象。「仕事を離れ、セカンドライフを模索する方の仲間づくりと自主活動」を目的に6月12、19、26日の3回開かれ、2回は講師の話、3回目はそれを受けての自由討議だった。
照井 参加者がいまひとつ。本当は最後はみんなと一緒にどこかで一杯やりながら本音で語り合いたいな、と考えていたのですが…。
A いや、講座の狙いは悪くない。ただ、世の男どもは憶病なんです。家族や会社の人以外とおしゃべりする機会が少なかったので、こうした講座にも興味はあるはずなんですが、つい二の足を踏んでしまう。結果としてテレビがお友達の「引きこもり」となって家族から嫌われる。
B 実はわたしも女房がこの講座に申し込んでくれてなかったら,この場には居なかった。わたしに内緒で、その日になって「行ってらっしゃい」と。来年、定年なんです。
C わたしは2年前、定年退職して、今第2の人生を模索中といったところ。こういった講座にも積極的に参加しているんですが、今回も正直ピンとこなかった。素直には笑えない話なんですが、山登りの講座が盛況だという。定年後の男たちが結構詰め掛けているらしいんですが、よく参加の理由を聞くと奥さんに勧められたから、という声が多かった。何のことはない。奥さんにしたら、その日の朝、おにぎり2個預けてやれば夕方まで亭主は山へ行っている。自分はその間、近所でおしゃべりしたり、趣味のサークルにも顔を出せる。
A 女房たちは子育てが終わったら第2の人生だ。男と比べたら踏み出しがずっと早い。
B PTAなんかで培った地域の人たちとの横の人間関係もある。名刺なしで付き合うことができるのが強みだ。
C わたしは会社を早期退職して、今いくつかのボランティアをしていますが、この前、名刺を作りました。肩書きなしですが、あると早く名前を覚えてもらえる。肩書きも考えたんですが、結局入れませんでした。
C 名刺を交換すると、男はその肩書きで相手との上下を推し量る。それで上にしろ下にしろなんとなく安心する。でも、セカンドライフはそこから離れたい。
A わたしも名刺抜きが一番いいと思う。でも、作ってしまった。長年の習性は恐ろしい(笑い)。
照井 再就職の考えは。
B 子会社に移ろうと思えば可能です。しかし今のところそうはしたくないと思っています。今まで部下だった者に明日から頭を下げなければならない相手になるなんて、頭では分かっても受け入れがたい部分がある(笑い)。それにせっかく足を洗ったんだから、まったく別の世界も見てみたい。でも、そうなると、再就職の道はぐっと狭まるんですが。
A わたしもボランティアをしながら再就職も考えています。いろいろ当たっているんですが、まったく別の世界に再就職するのはこの年になると難しい。わたしの場合、早期退職ですが、定年になって寂しく見送られるよりは、少し余力を残して格好良く辞めてやれ、なんて変な見えを張って退職したところもあるので、余計前職にかかわりのないところでやってみたい。
照井 実はわたしも早期退職組。これからどうしようかと考えていたところ仙台市の「市制だより」で「仙台ひと・まち交流財団」が、開館するこの南中山市民センターの職員を募集している記事を目にしました。去年のことです。たくさんの応募があるのは承知の上で、もし、わたしがここで働けたら、こういうことをやりたいと、思いつくすべてを書き連ね、面接でも思いの丈を熱く語りました。わたしも前職は営業職でノルマ達成に追いかけられていました。
多くの中から採用していただいたのは、自分の熱意を分かってもらったからだと思っています。だからおくせず体当たりでいけば何とかなるのでは。歳はあまり気にしないでいい。
C なるほどね。何だか前が開けた思いがしますよ。
A 定年族よテレビを捨て、街に出よ、ですか。ですから、そういうきっかけを得るためにもこういった場が必要だ。堅苦しい話は後回しにして、初回が飲み会だったら、この講座ももっと盛り上がったんじゃないかな。
照井 そこに早く気が付けばよかった(笑い)。でも、第2の人生をより良くするには、もうひとつ忘れてはならないことがあります。奥さんとの関係、これが良好でなければ、何事も始まらないと思います。
C 同感。また、聞いた話で恐縮ですが、お互い健康でなければと、60歳代はじめの夫婦がウオーキングを始めたそうです。何事にもきちょうめんなだんなさんだから効果を上げなけりゃと毎日スタコラ歩いた。ある日、奥さんがもう止めると言い出した。訳を聞くと「ついて行くのに疲れる。あなたは振り向くことを知らない」と言われた。それからだんなさんは奥さんの歩調に合わせて歩くようにした。並んで歩くようになったら、ウオーキング以外でも会話が増えたそうです。
A わたしはゴルフが好きなんですが、自分ひとりで楽しんでいたんじゃ申し訳ないと思って、この前女房にも自分にも自分の物より少しいいクラブをプレゼントしました。そうしたら、今ではわたしが女房のお供でゴルフ場通いです。まあ、いいかと思っています。パートナーは大切ですからね。セカンドライフは夫唱婦随ならぬ「婦唱夫随」ですからね。