月命日の7日(3月)、奥さんが永眠する墓を訪れた鈴木賢一さん

 新しいタイプの墓が増えている。ニュータイプは、墓石の色も形も自分の好み、丸型、筒型さえある。こうした墓は市民霊園などでは、既に珍しいものではなく、建て主のなかには墓への考え方も従来の意識とは違う場合もある。「お墓は今の家族のもの」という「脱代々墓」派もみられる。ニュータイプ増加の背景には「代々墓」の担い手としての子どもがあてにできず、また、従来の宗教観にとらわれない現代の中高年の姿がある。
 仙台市泉区の「いずみ墓園」は黒川郡大和町と境を接する丘陵地を切り開いて4年前にオープンした。同市立「葛岡霊園」がいっぱいになったため造られたが、昨年7月末で3284件の貸し出しがある。宗教、宗派を問わず借りることができる。
 同園では墓地を3種類に分けている。従来の墓石用の「一般」、横型用の「芝生」、それに独身者などのための「個別」。新しいタイプの墓は「芝生」に集まっており、この貸し出し数は984件。このうち1区画を歩いてみると―。
 これまで横型墓石と呼ばれていたものは2、3段の礎石に横型のものを重ねたスタイルを指していたが、ここではもっと簡素な造りのものがほとんどだ。礎石は1段ぐらい。大きさもずっと小ぶり。形は長方形の上辺を波打たせたり、丸みを持たせたりと、そのままの形で使っているほうが少ない。なかには野球のボールを想像させる球形、赤い円筒形を2本並べたもの。あるいは三角錐の墓石さえある。こうした独創的なものは「デザイン墓」と別に呼ばれているようだ。
 墓碑銘も「憩」「旅立ち」「絆(きずな)」などと彫り、その下に小さく家名が添えられているケースが目に付く。「陽気ぐらし」「また来てください」など故人の暮らしぶりや人柄を忍ばせる一節もある。
 仙台市の石材店の老舗「菊平石材店」代表の菊池正弘さんによると、こうした墓石を求める人が増え出したのは、ここ7、8年のこと。最近では伝統的な「和型」と横型の「洋型」の注文の割合は半々ほどで、墓碑銘にアイデアを凝らす人が多くなったと話す。嫁ぎ先の娘の家名を自分の家名と並立させて刻んだ例もあったという。男の子どもがいないので、将来のことを考えてのことらしい。
 「デザイン墓」の注文は今のところ少ないが、独創的過ぎて、子どもや孫が受け継ぐのにとまどいを覚えてしまうのでは、と心配してしまうケースもあった。
 菊池さんはこうした近年の傾向を「墓にオリジナル性を求めるのは、二つ目の自分の家と考える人が多くなったからではないか。代々継承されるもの、という意識が希薄になったように思えます」。子どもの少ない現代の中高年は遠い先々のことを考えづらくなっているのでは、ともみている。

 全優石主催の「第3回ニューデザインお墓コンテスト」で大賞を受賞したマラソンランナー夫婦のお墓。マラソンランナーの浅井えり子さんがコーチで夫でもあった功さんのために建てた。北海道別海町の別海霊園にある。(吉田剛「おもい入れのお墓づくり」掲載)