全日本早起き野球協会審判功労賞を手にした和田さん
 スポーツの秋。たまには草野球でもして思い切り汗を流しませんか。熊谷市大原の和田邦康さん(八四)は高齢者の親ぼくと健康増進を目的とした「熊谷市早起き野球連盟」で副会長を務め、今もなお試合でマスクをかぶる現役の審判。高校野球の審判員も十年間務めた大ベテランだ。「とにかく野球が好きで楽しい」と語る和田さん。今は野球以外にも、テニス、公民館主事と多方面 で活躍し、忙しい毎日を送っている。
 野球との出会いは今から七十五年ほど前。幼少時代は手作りのボールとバットが遊びの必需品だった。試合ではファースト、キャッチャー、ピッチャーと複数のポジションをこなす「万能選手」。十六歳で軍隊に入隊し、一年間満州へ従軍。その後、二十一歳のとき飛行機の操縦を学ぶため、熊谷の飛行学校へ入学した。当時も暇さえあれば、仲間と野球に明け暮れた根っからの「野球少年」だったという。
 戦後、熊谷に戻り、地元の生保会社に就職。社会人チームで選手として活躍しながらプロの審判員を目指した。三十五歳のとき念願の審判員の資格を取得。そして昭和三十三年から始まった「熊谷市早起き野球連盟」で現在まで審判員を務めてきた。
 審判を務めていて一番難しいと感じるのは、ホーム上でのクロスプレーだという。一点を争うホームベース上でのクロスプレーは、野球の一番のだいご味だ。「今でも判定に迷うときがある。まだまだ熟練が必要だね」と和田さん。部屋の机の隅に置いてある、長年使い込んで黒く汚れた「野球審判ガイドブック」を見ると、和田さんの野球に対する情熱が一層伝わってくる。
 野球シーズンがオフとなった今の時期は、なかなかグラウンドに立つことがないが、九月の敬老の日に蕨市で開かれた「第二十回わらびシルバーカップ野球大会」ではゲストで審判を務め、久しぶりにグラウンドに立った。年齢を感じさせない威風堂々とした和田さんの主審姿は、参加した多くの六十代の選手を元気付けたそうだ。「体が動く限り、グラウンドに立ちたい」と話す和田さん。年齢を重ねるごとに、野球への思いはなお膨らむばかりだ。
 
試合中の和田さんの主審姿
若い気持ちで出会い大切に
 
和田さんのモットーは「実年齢から十歳引いた年代の気持ちになって過ごす」こと。人との出会いを最も大切にし、今も若い人や女性の友達との交流を多く続けている。
 そして軍隊にいたときから五十年以上、毎朝欠かさず続けているのが、たわしで全身を洗うことと冷水浴び。「一日でもやらないと気持ち悪い」というこの朝の日課が、一番の健康の秘けつだ。
少年に指導も
 野球のほかにも、和田さんは大正・明治生まれのメンバーで構成されるテニスクラブ「大明会」にも所属し、地元の運動公園で汗を流している。七十歳になって新たに始めたという軟式テニス。五人のメンバーと一緒になり毎週金曜日、テニスを楽しんでいる。
 現在は地元の大原公民館で主事を務める傍ら、少年野球の指導・審判を行うなど多方面 で活躍している。「若い人がはつらつとプレーしているのは自分のことのようにうれしいね」と和田さん。八十四歳、現役審判員の目は早くも次の試合に向けて、やる気に満ちあふれている。