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一度聞いたらとりこになる加藤さんのオン・ステージ
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自宅スタジオKで「かとちゃん」もモノマネをする加藤さん
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本名は加藤一夫。マイクを握れば、もう一人の自分。芸名は「サンタ・ルチア加藤」。蓮田市緑町の加藤一夫さん(六七)は、懐かしの名曲「函館の女」、「星影のワルツ」、「青い山脈」など、懐メロをバンドで演奏し、老人ホームや障害者施設を慰安訪問しコンサートを開いている。モットーは「お年寄りの皆さんに元気を」。フラダンスやトークショーなども行っているこの出張バンドは、県内各地の施設で大好評だ。
昭和十一年、東京・荒川区生まれの加藤さん。大学では機械工学を専攻していた。卒業後は自動車メーカーに就職し、エンジニアの道へ。その後、四十四歳のとき脱サラで国際特許事務所を設立した。しかし順風満帆の加藤さんの人生に突如、逆風が吹く。平成初期に日本経済を襲ったバブル崩壊。各企業が技術開発への投資を見直した影響で、特許の仕事は激減。五十歳すぎての挫折だった。
幼少期、口ずさんでいた岡春夫や春日八郎、藤山一郎の歌。下町で育った加藤さんの童心には、自然と歌手への夢が大きく膨らんでいた。定年後に夢をもう一度―。加藤さんは五十すぎのこの時、大好きな歌の世界に飛び込むことを決心した。
若いころギターを弾いていた仲間と協力して平成十二年に「ナツメロ聴いてもらい隊」を結成。そして二年後の同十四年二月、NPO法人「埼玉
芸能協会」を設立。「世界初の芸能NPO」だと加藤さんは言う。
レパートリーは懐メロ約六十曲。藤山一郎の「東京ラプソディ」や「青い山脈」、東海林太郎の「赤城の子守唄」や「名月赤城山」など、昭和の名曲のほかにもフラダンスやモノマネパフォーマンスとステージは毎回、大爆笑。自らも声楽について勉強したという加藤さんの声は、とても六十七歳とは思えないほど張りのある美しい声だ。
現在、十三人が所属するバンド名は「ロータスフラワーズ」。練習は「スタジオK」と呼ばれる加藤さん宅にある専用スタジオで行われる。豪華なドラム、カラフルな照明装置と銀色に輝くミラーボールから成るこの部屋。建設費用はなんと総額一千万円だという。
そんな加藤さんだが仕事も減り始めた五年前、大腸がんで病床に伏してしまった。その時に作った歌が「死んでたまるかこのままで」。「想いだそうぜ 若い日を 今日から始めて 遅くない」という力強い歌詞が特徴のこの歌。「今でも私の人生の応援歌」と加藤さんは話しながら、ステージ上で拳を突き上げ熱唱する。
一番のやりがいはステージから見るお客さんの反応だという。涙を流して懐メロに聴き入る老人や、笑顔で手足を必死に動かして何かを伝えようとする身体障害者も多い。「日ごろ、こんなうれしそうな表情見たことない」と施設の人が驚くことも多々あるという。今ではコンサート依頼も多くあり、ギャラももらえるとか。「平凡な六十男がこの年になってデビュー。こんなに人生を楽しんでいる変なおじさんはいないでしょ」。話の所々で志村けん、加藤茶、田中角栄のモノマネを巧みに使い分け、とても陽気に話す加藤さん。天性の明るさと愉快なパフォーマンスは、今日も多くの高齢者に元気を与え続ける。加藤さんは現在でも老人施設などでの出張コンサートを受け付けている。TEL048・768・7668
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