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3日は桃の節句、ひな祭り。鴻巣市人形にある株式会社マル武人形の長島房江さん(58)は、鴻巣びなの着物を着付けて28年のキャリアを誇る職人。平成11年12月には県内の女性で初めて「伝統工芸士」にも認定された。細い目打ち一本で人形に優美さを吹き込む長島さんの技術は“匠の技”と呼ばれ、多くの人形を色鮮やかに変身させていく。
長島さんは川里町生まれ。結婚を機に「関東三大ひな市」の一つに数えられている鴻巣市へ移り住んだ。主婦だった長島さんが人形作りの世界へ飛び込んだのは31歳の時。「もともと物を作るのが好きだった」と新聞の求人広告を見て応募した。
仕事を始めた当初は苦難の連続だった。全くの“新米”だった長島さんは、与えられた仕事を必死でこなした。人形の骨格に使う木や針金を一日中切り続けるなど、単純作業の連続だった。手のひらにできたまめは数え切れない。
「当時は教えてくれるより自分ですすんで覚えろの世界だった」と長島さんは積極的に先輩の人形作りを見て技術を学んだ。京都で購入した最高級の人形をわざと分解し、自分で組み立て直して人形の細かい構造を学んだこともある。
現在、人形作りはほとんどが手作業。「使っている機械はミシンだけ」と長島さんが話すように頭作りから手足、小道具、衣装を着付けて組み立てるまですべての工程が職人の高度な技により行われている。人形の顔に目や口を書き入れる「頭師」、扇や太刀、太鼓、笛など28種類もある小道具を作る「小道具屋」など、仕事もすべて伝統的な分業制。長島さんの仕事は「着付師」と呼ばれ、着物の裁断から着付け全般
まで、いわば最後の仕上げを行う。
人形の着物に使用するのは高級な京都の西陣織など。竹べらやのりを使い、着物の袖やすそなど「人間が着ているように」繊細に表現する。人形の腕には太い針金が入っており、腕の折り曲げにもかなりの力とコツがいる。熟練の技としなやかな感性により、「仕立てのがっちりした本物の人間に近い」人形が生まれる。
首相官邸も彩る
ことしも長島さんが手掛けたマル武人形のひな人形は、首相官邸のロビーに飾られた。小泉首相の記者会見の際、後ろにさりげなく写し出されたひな人形の姿は、国内はもとより海外にも広く伝えられている。
「物づくりはすべてが苦労。一つ良い作品ができてもこれで良いというように、終わりがない。もっと良いものをどんどん作っていきたいですね」
たくさんのきらびやかな人形に囲まれ、長島さんは目を輝かせて話す。
人形についての問い合わせはマル武人形へ
TEL048・541・3517 |
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