ビール造りで一番気を付けているのは温度管理です」と馬場さん

 小川町飯田の元大学助教授、馬場勇さん(58)は趣味の小麦作りが高じ、ことし4月から同町大塚で地ビールの製造、販売を行っている。「自分のやりたいことを満喫し、残りの人生を過ごしたい」と、ことし3月に14年間勤務した大学を退職し、新たに踏み出した第2の人生だ。厳選したホップと小川町のおいしい水を使って醸成したビールは、深いコクがあり、地元でも評判となっている。
 馬場さんは大東文化大学経営学部(東松山)で情報科学を教えていた元助教授。仕事の傍ら、休日は町内に借りた農地で、麦やコメの栽培を趣味で行っていた。自分で栽培した麦を使い、ビール造りを試みるようになったのは平成9年から。当初は自家醸造で楽しむ程度だったが、たちまちのめり込むようになり、「もっとビール造りを勉強したい」と大学の退職を決意。本格的にビール造りに取り掛かった。
 インターネットで知り合った全国の地ビール愛好家と協力し、昨年1月から半年間かけて小川町駅前にビール工房を設立。内装工事も自ら手掛け、発酵タンクや温度制御装置などに総額500万円掛け、海外の中古品も購入した。
 昨年の7月に発泡酒免許を取得し、ことし4月、念願の店「麦雑穀工房マイクロブルワリー」を開店した。
 「すべて自給した麦やホップをぜいたくに使っています」と、馬場さんが手掛けるビールは、フルーティーな味わいのものから、麦芽の香りと苦味が特徴のものまで4種類(各400円)。店内では妻の和江さん(54)が有機麦芽やアワ、キビ、小麦などの自給農作物を使ってパンを焼き、カウンターでビールとともに味わうことも可能だ。
 知人やコンサルタントからは「採算が取れないのでは」と提言されることも度々あったが、「全く気持ちは揺るぎません。逆に、『うまいビールを造ってやろう』と気持ちに火が付きました」と馬場さん。
 この夏は麦芽を赤くクリスタル状になるまでいった「小川レッドエールサマー」(300ミリリットル)を季節限定で発売する。まろやかな口当たりで飲みやすく、馬場さんの一押し商品だ。
 店を立ち上げてからもなかなか自分の理想の味が造れず、「精神的に追い込まれることもあった」が、「ビールをおいしそうに飲んでいるお客さんの顔を見ることが、何よりの楽しみ」とほおを緩める馬場さん。
 夢は誰もがおいしいと思ってくれるビールを造り、たくさんの人に飲んでもらうこと。
 「助教授を辞めるとき、周囲から『何で辞めちゃうの』『もったいない』といわれましたが、今も自分の選択に全く後悔はありません」
 馬場さんの挑戦は続く。

◇麦雑穀工房マイクロブルワリー
http://www.craft-beer.net
 比企郡小川町大塚1151の1 TEL&ファクス0493・72・5673 営業時間は午前11時〜午後7時。月曜休み。遠方の人には宅配も行っている。