「区切りの300台達成の歳には浦和で記念コンサートをやりたい」と話す秋本さん夫妻

 さいたま市緑区道祖土で水道工事業を営む秋本清さん(61)と妻の絢子さん(61)は、1994(平成6)年から演歌歌手として活動し、CDやテープの売上金で車いす寄付のボランティア活動を続けている。いつからか2人に付いたニックネームは「歌う水道屋夫婦」。足かけ11年間で全国各地に寄付した車いすは7月現在272台。「次の目標は300台」と2人は意気込みを新たにする。

 2人の活動は今から27年前に清さんの父親が倒れて寝たきりになった事がきっかけ。行政に車いすの貸し出しを求めたが台数が少なく、順番が来ないうちにあえなく死去。「車いすがあったらもしかしたら父親も生き延びたのでは」の清さんの思いが原点となった。
 水道工事業の会社を設立して20年たった94年。「何か形に残るものを20周年の記念にしよう」と2人が大好きだった歌でレコードを自主制作した。「記念なので1枚あれば十分でしたが、自主制作は数千枚買い取りが原則という話になって。ならば皆さんにCDを買っていただき、その売上金で車いすを寄付しようと思ったのが初めです」。第1弾デュエット「人生ふたりづれ」で念願の歌手デビュー。売上金全額で当時の浦和市に5台の車いすを寄付した。
 97年には岩手県出身の絢子さんとの思い出の地である遠野市を謡った「遠野ふたり旅」、次いで2000年にはキングレコード(株)から第3弾「どんと来い!岩手」を全国発売。CDは販売ルートに乗って売り上げがぐんぐん伸び、01年11月には寄付した車いすが200台を突破した。
 手売りで地道に売り上げを伸ばし、秋田県から岩手県の盛岡、花巻、遠野の各都市をワゴン車で3日間にわたって2000キロ回るキャンペーンも断行。足りない分は、自腹を切って車いすを寄付し続けた。
 車いすの寄付先は県内以外にも岩手、青森、新潟、群馬、山梨、静岡など全国各地。2人は忙しい会社経営の合間を縫って、各地でチャリティーコンサートや慰問公演も精力的に行っている。

新曲「いつか、この日が…」

 テレビやラジオの出演も多数あり、現在はIBC岩手放送でレギュラー番組「ふたりの時間」(日曜日午前9時50分放送)を担当。リスナーからのリクエストやなまりたっぷりのユーモアトークで茶の間の人気を博する。
 将来は障害者や高齢者を対象としたカラオケ教室など、大好きな歌で世の中を明るく、元気にしたいと思いを膨らませる2人。「ここまできたら夢は全国ヒット。体の動く限り歌い続けて、少しでも社会に貢献していきたい」。秋本夫妻は満面の笑みを見せる。
 CDやテープは各1000円で発売している。問い合わせは秋本管工TEL048・887・6612