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女優・渡辺えり子さん
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テレビドラマや映画『Shall We ダンス?』での豪快なイメージが強い個性派女優・渡辺えり子さん。その一方で、一九八〇年代の小劇場ブームを牽引し、現在も個性的な演出で演劇界をリードしてい。最新作「りぼん」では女性の生き方を通
して、命の重さを訴える。
小劇団の主宰であり、演出あり、家で劇作家であり、女優である渡辺さんは、一九七九年に結成した劇団「3〇〇(さんじゅうまる)」を九七年に解散後、三年のブランクを経て二〇〇一年に劇団「宇宙堂」を結成した。
彼女が手掛ける作品に共通しているのは“女性を描く”ということ。今回の「りぼん」は、同潤会アパートを舞台に、関東大震災から現在まで、時代に翻弄されながらも力強く生きた独身女性の暮らしを、“一本の青いりぼん”で繋げていくオムニバス方式の物語。「最初は同潤会アパートに住む女性たちの愉快な話にしようと思ったの」。脚本を変えたきっかけは、イラク戦争だった。
「元々演劇は非戦を訴えるもの。柔らかいペンと身体で、希望を伝えていくのが役割なの。どういうことを描けばみんなが命を大切にし、平和な時代が来るかと考えたとき、明治、大正、昭和、平成に生きたごく普通
の女性一人ひとりを丁寧に描けば、命の重さを分かってくれるのではと思ったの」
子供や老人、女性たちが苦しむ戦争を止められなかったという無念さを作品に託す。個性派女優としてブラウン管で活躍する中で、劇作家にこだわり続けるゆえんはここにあるのだろう。
結婚したのは四〇歳だった。「同世代の劇作家でも、男性の場合は子供が二〜三人いた。でも私の場合は、ちょうど仕事の信頼を得るのに忙しい時期だった」“女性だから”という冷ややかな態度。今も昔も、血と汗を流して日本を変えようと努力した女性がいたからこそ、自由に物が言える今日がある。受けた傷こそ違うが、自分も受けてきたその“痛み”を描きたい、と真剣な眼差しで語る。
物語は、昔懐かしいバンドネオンによる生演奏をバックに、現実と虚構が入り混じる幻想的な世界を、バラエティに富んだ出演者がにぎやかに演じる。「理屈っぽくしたくないの。感性で楽しむものだから」。その明るさの陰に、悲しい女性の生活を描くことを忘れていない。
「混沌とした時代に、若者は明日からどう生きたらいいのか模索している。そんな若者を生みだしたのは、私たち中高年の責任でもあると思うの。その責任を私なりにとる上でも、牢屋に入れられようが、ずっと芝居を続けていきたい」
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