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| 【おがわ・きたろう】1939年東京生まれ。俳優座演劇研究所俳優養成所11期卒業。主な映画は「天国と地獄」「赤ひげ」(黒澤明監督)や「エロ事師たち」(今村昌平監督)など。舞台は「三人姉妹」「神兵衰弱編」「ベトナム戦記」など多数。 |
「介護する者もされる者も、人生を投げてはいけない」−。痴呆老人とその介護という重いテーマを描きつつも、ユーモアたっぷりの一人芝居「ぼけの頑張り」が今月、横浜にぎわい座で行われる。演じるのは、現在94歳になる実母を介護する俳優・小川幾多郎さん(65)。10年の沈黙ののち、自らの再出発に選んだテーマは「介護問題」だった。
痴呆は突然始まった。10年ほど前、小川さんが経営するスナックに、実母から数分おきに電話がかかってくるようになった。その後、小川さんの留守中にコンビニなどへ出歩き始め、保健所にお世話になったこともあった。「まさか、信じられない、という気持ちで、現実を認めたくなかった」。当時は母の行動に腹を立て、声を荒げることもあったという。
母と2人暮らしの小川さんは、芸の世界から退き、介護と正面から向き合い始めた。「ふっと、母親がかわいらしく感じるときがあるんです。慈しむという感情は、こういうものかな、と初めて感じました」
7年前からは完全看護になり、ヘルパーと共同で母親の介護に当たる日々。「現実を嘆くのではなく、楽しもうとする心が大切でしょう」。自然に母に語り掛けている自分に驚きもあったという。
昨年秋、映画や舞台の製作を手掛ける劇団俳優小劇場時代の後輩から、「もう一度、舞台に立ちませんか、一人芝居でどうでしょう」と打診された。小川さんが出した条件はひとつ。「介護問題ならやりましょう」
小川さんのために、作家の山崎洋子さんが書き下ろしの脚本を用意した。「映画も舞台でも、痴呆とその家族を取り上げたものは多いですが、すべて“介護する側”から描かれています。今回は“痴呆になった側”の心理と行動を表現します」
明るくておっちょこちょい、目立ちたがり屋で、女にだらしがない72歳の役。「ふわっとした孤独感が、にじみ出るといいですね」
10年ぶりの舞台に、「どんな舞台でも漠然とした不安はあります。一方で胸が高まりますね。痴呆の役柄は大丈夫。昔から酩酊(めいてい)状態や、とぼけた役が多かったから」とおどけた表情を見せる。
今後、希望があれば地方公演や学校、老人施設などへも出向きたいと考えているという。
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【一人芝居「ぼけの頑張り」】16日(木)〜20日(月・祝)、横浜にぎわい座地下2階ののげシャーレ(JR桜木町駅徒歩3分)。脚本&演出・山崎洋子。一般3800円。問い合わせは名取事務所TEL&ファクス044・854・5366 |
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