「新校舎ができるまでは仮の校舎で我慢です」と笑顔で語る栗田さん

 今月5日に横浜で開催されたアマチュアのダンス大会「フィットネス ヨコハマ2006」に出場したグループの中でも、年齢層が高いながらもほほえましいフラを見せた「横浜カ・レイ ロケラニ フラスタジオ」。結成まだ1年ながら、高齢者でも参加できるフラスタジオとして大人気だ。創設したのは、旭区の元(財)横浜市スポーツ振興事業団職員の杉山弘子さん(65)。「横浜を高齢者の元気な街にしたい」と語る。

 フラ、とはハワイ語でダンスのことを指す。昨今のスローライフブームで、ここ数年、フラは習い事の中でも人気が高い。横浜で毎年ゴールデンウイークに行われる「フィットネス ヨコハマ」の種目にも認定されている。  ところが習う立場になると年齢制限や、高額な月謝などが原因で、高齢者の受け入れ先は少ない。年金生活では10,000円の月謝が払いにくくなるのは当然だ。  そんな実情を同振興事業団在職中から見ていた杉山さんは思案に暮れていた。実家が寺院で、以前は養護学校の介護師をしていた杉山さん。幼いころから父親に"弱い立場の人のために動きなさい"と言われてきた。そこで、在職中からフラ教室に通い勉強を始め、周囲の高齢者からの強い要望に応えて、ついに2005年「横浜カ・レイ ロケラニ フラスタジオ」を開講する。定年までの1年も惜しくはなかった。  同スタジオの特徴は、(1)低価格(2)年齢不問だ。西区や磯子区、港南区などで地区のスポーツセンターを借り、1レッスン2000円前後と破格の値段を設定している。また、高齢者や病気で体が思うように動かない人でも、杉山さんは喜んで受け入れる。  「だって、アロハスピリッツは"愛"なんですもの。弱者に目を向けて楽しみを共有する踊りがフラなんです」。自分ひとりで勉強するだけでもよかったのに、「こういう流れになったのはやはりフラの力」だと思わされると言う。  そんな杉山さんを慕って、会員は口コミだけで約150人にもなった。レッスンはアロハ柄のスカートにTシャツで。「みなさん、最初は地味な色のスカートなのに、どんどん色の強いものに変わっていくんですよ」。手術や持病で手が思うように動かせない人も、「レッスンに参加しているうちに、動くようになるんです。顔色もよくなっていきますし」と、自分のことのように喜ぶ杉山さん。  波のリズムを取るために、土踏まずでしっかり床を踏むことが、前頭葉を刺激して痴呆防止にもつながると話す。日本の歌でもフラにぴったりとはまるものもあり、練習曲には夏川りみのヒット作「涙(なだ)そうそう」も。分かりやすい歌詞、情緒的なメロディーは踊りやすく、心を揺さぶる。

車いすでも楽しくフラを
 杉山さんの毎日は、レッスン以外にも夫の看病に費やされている。それまで病気ひとつしたことのなかった夫が、数年前階段から落ちて脳挫傷になり、奇跡的に命は取り留めたものの、入院生活を余儀なくされた。やっと入ることのできた千葉の病院まで杉山さんは車を飛ばしている。  以前、どうにかして記憶を呼び戻したいと、病室で真っ赤な衣装を着てフラを踊ったことがあった。「そうしたら、今まで焦点の合わなかった目がぴたっと止まって、夫の口がハ・ワ・イ、と発音したんです」。話していて思わず目頭が熱くなった。「これから後天的障害者や弱者はどんどん多くなりますよね。そういった方々がたとえ車いすに乗りながらでもフラができるようにして差し上げたい」という夢が固まった。  スタジオの名前は、横浜の花であるバラが由来している。杉山さんは大和市の出身だが、横浜を愛する気持ちは地元っ子と同じ。いや、それ以上かもしれない。これからは高齢者を大事にするように若い子も育てていくつもりだ。「そしてフラがもっと高齢者の間に広まって、横浜が高齢者の元気な街になることがわたしの願いですね」  
横浜カ・レイ ロケラニ フラスタジオ(TEL)045・391・0178