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  お茶の間けいざい 平成20年9月上旬号  
「市民後見人」を育成  シニア有志がNPO/「お金」管理など生活支援

「認知症180万人のうち成年後見制度を利用しているのは12万人に過ぎず、うち7割は親族が後見人」と市民後見人の必要性を話す和久井良一さん(中央)などNPO市民後見人の会メンバー
 
成年後見制度“担い手”不足
  8年前に高齢社会を支える“車の両輪”として介護保険とともに始まった成年後見制度―。認知症や知的障害などが原因で十分に判断できない人々の権利や財産を守り生活を支援する制度だが、利用する可能性のある人数に対して弁護士、司法書士など後見人となる専門家は極めて少ないのが課題となっている。そうした中、市民がNPO法人を設立して「市民後見人」の育成を図る動きが始まった。

  東京・品川区にあるアパートの一室―ここが特定非営利活動法人(NPO法人)「市民後見人の会」( TEL:03-3786-6321、ホームページ http://www.shimin-kouken.net/)事務所だ。職業ではなくボランティアとして成年後見制度にかかわろうという考えで2006年11月に任意団体として発足し、今年1月24日に東京都から認証された(法人登記は2月6日)。「まだ動き出したばかりで、具体的なことはこれからです」と同会の中心メンバー(理事)である和久井良一さん(76)は話す。ボランティアなので森本恒吉代表が提供した事務所に会議などで集まる時も電車代などは自分持ちだ。会員は現在、44人。半数が品川区在住の50代から60代が中心で男女比では女性がやや上回る。市民による市民後見人の引き受けや育成を行う法人設立は珍しい。会員は企業を定年退職した男女がほとんどで、住んでいる各地域かかわるきっかけの一つとして市民後見人のボランティア活動を考えている。

相談も受け付け
 認知症高齢者は全国で180万人を超えるのに対し、職業後見人となる弁護士や社会福祉士など専門家の人数は十分でない。また成年後見制度が認知症高齢者などの財産を守るという趣旨のため後見人への報酬は多くを望めず、職業としての後見人のやり手が少ないという事情もある。

 そこで、「(法律的な知識が必要となるような)難しいことは専門家に任せるとして、日常生活のお金の管理などの生活支援は市民でもできる」という考えから和久井さんたちはNPO法人を立ち上げた。

 今後は、認知症高齢者などの後見にかかわる相談・支援事業などをNPO法人として引き受けるとともに、市民後見人の育成も進めていこうと考えている。後見人となる人材を大幅に増やしていかないと、利用する可能性のある人々の増加に対応できないからだ。

増える認知症患者
 総務省のまとめによると、65歳以上の高齢者は全国で2556万人と全人口の約20%を占める。「5人に1人が高齢者」は先進国中でもっとも高く、10年後には26%に達する見通しだ。これにともない増加しているのが認知症患者数。団塊世代がすべて高齢者の仲間入りをする15年には250万人、さらに35年には337万人にまで増えると予想されている。

「任意後見」に注目
 成年後見制度には大きく分けて法定後見と任意後見の2つがある。家庭裁判所が選ぶ法定後見に対し、本人に判断能力があるうち将来に備えて自ら代理人を選ぶのが任意後見。これは任意後見人が本人の代理で本人の生活や療養看護、財産管理などに関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人作成の公正証書で結んでおくというもの。

 「任意後見の登記件数は最近7年で10倍以上に増えています」と話すのは、日本公証人連合会広報委員の遠藤英嗣公証人(蒲田公証役場)である。

 「例えば、70歳の夫が内臓の病気で入院している時に妻が死亡、遺産相続の手続きが必要になったので夫の弟(60)が任意後見契約を結んで手続きを行った。この場合のように病院に入院している人の支援は『たいへん助かる』という声が多い」という。おいや叔母が入院し入院費などを支払うため銀行に行って定期預金を解約しようとしても本人でないとダメだと言われるケースも想定される。今後、任意後見制度を利用しようとする人は増えてくる見込みだ。

 先のNPO「市民後見人の会」が主催する市民後見人の養成講座はこれまで6回行った。将来、後見人をやってみたい、と関心のある人は増えている。「人口3万人に1つの割合で市民後見人のNPOができてくれば相互扶助の社会になってくるのでは」と和久井さん。

 認知症高齢者などの成年後見制度普及を市民がボランティアで行わなければならないのも日本の現実だ。

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
件数 655 938 1703 2169 3602 4732 5420 6669
任意後見契約登記・公正証書件数 ※件数は全国(法務省まとめ)


成年後見制度の問い合わせ先
法務省民事局参事官室 TEL:03-3580-4111/蒲田公証役場 TEL:03-3738-3329

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