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天野 隆さん |
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3月末の国会で可決し今年4月から実施される見通しの税制改正。その中に、4月まで待っていると期限切れとなる項目に(1)消費税(2)生命保険に関する調整措置がある。具体的な事例で見てみよう。
ケース1 アパート建築時の消費税還付“厳しく”
まず「消費税の仕入控除税額の調整措置に係る適用の適正化」。これまで、個人がアパートやマンションを建築する際に駐車場や自動販売機など課税売上の上がるものを設置すれば、建築費にかかる消費税の一部や全額が戻ってくる可能性があった。
例えば、親の遺産5000万円でアパートを建築した場合、通常は消費税(5%)がかかって250万円を支払うことになる。しかし、建物の持ち主にとって、建築費には消費税がかかる(課税売上)のに、アパート家賃には消費税がかからない(非課税売上)のは不公平と、駐車場や自販機などの設置を行った場合には消費税の還付が認められるケースがあった。
ところがこれが4月以降認められなくなる可能性が高い。注意が必要なのは、それまでに行動を起こしていないと期限切れになってしまう点だ。
税金の還付に詳しい税理士の天野隆さん(税理士法人レガシィ代表社員税理士)は、「個人でマンションやアパートを建設している人や建築を計画している人は、3月末までに税務署に申請すれば間に合うので、早めに税理士に相談することをお勧めします」と話す。
ケース2 定期金評価額増で贈与税が増える人も
もうひとつが「定期金に関する権利の評価方法等の見直し」。
例えば、生命保険の個人年金に1億円を支払って加入する。そして、年金の支給が始まった後に自分が年金としてもらえる権利(定期金の権利)を子どもに贈与する。これまでこの権利の評価が低かったため、税金対策として有効だった。現金1億円を子どもに渡せば1億円で相続税が評価されるが、権利になると最高20%の評価に大きく下がる。1億円の年金額なら2000万円で評価される。それだけ贈与税が安くなるというわけだ。しかし、税制改正で2000万円の評価額が8000万円以上に増額される。それだけ贈与税が増えることになる。天野さんは、「これも、来年3月末までに贈与や相続するケースで今年3月末までに契約した場合は間に合います」と話す。
問い合わせは、税理士法人レガシィ税務相談部 TEL03・3214・1717
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