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改正介護保険法の特徴は? CFP・山田静江さんに聞く |
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「介護保険は制度だけでは維持が難しい。ボランティアなどで同世代が互いに助け合うことが必要」と山田さん |
2012(平成24)年度から施行される改正介護保険法。その目玉となるのが地域包括ケアだ。高齢者向け住宅の整備や医療サービスの充実、24時間医療・介護サービスの整備を地域の住民やNPO団体などが協力し合いつくっていくというイメージになる。そのポイントについて、ファイナンシャルプランナー(CFP)の山田静江さんに聞いた。
改正介護保険法の中でも山田さんが重視しているのが、(1)医療と介護の連携強化(2)高齢者の住まいの整備や施設サービスの充実(3)認知症対策の3点。
医療と介護
具体的に(1)では、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の新サービスが登場する。これは、訪問看護と訪問介護の両サービスを24時間対応で提供するもので、双方が連携しながら短時間の定期巡回を行い、要望に応じたサービスを行う。1事業所に訪問介護と訪問看護を併設しても、緊密に連携を取りながらサービスを提供してもよい。同じく新サービスなのが「複合型サービス」。「通い」を中心に「訪問」「泊まり」の3サービスが一体となって24時間対応する小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせたものだ。
住まい整備
(2)は、厚生労働省と国土交通省の連携による高齢者の住宅供給の促進。高齢者住まい法改正(国土交通省)を受け、今年10月からサービス付き高齢者向け住宅登録が開始されるが、これを踏まえて両省が連携して高齢者住宅の整備や充実を図ろうというものだ。「1人の人に医療保険や介護保険、高齢者住まい法がバラバラに対応するのではなく連携して対応しようとしている」と山田さん。
ちなみに、サービス付き高齢者向け住宅は、これまで複数あった高齢者専用賃貸住宅(高専賃)や高齢者円滑入居賃貸住宅、有料老人ホームなどをおおむね一本化して高齢者住宅として位置付ける。
「要介護度に合わせて医療や介護、食事など外部のサービスを受けることができる住宅です」と山田さん。こうした計画が各自治体でどこまで実現できるかは別だが、そういう住まいをつくらないと介護保険制度が将来、立ち行かなくなる危惧があるという。
特に問題となるのが何らかの医療ケアは必要だが病院に長期入院できず、かといって特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)に入るほどの状態ではない人の行き場。療養病床(介護ベッド)が将来的に廃止される見通しで、それに代わるものとして安否確認と生活相談、見守りサービスや介護サービスが付いた高齢者向け住宅が計画されている。
認知症対策
(3)の認知症対策は、市民後見人を積極的に活用して高齢者の権利を擁護する方向。また、認知症患者を抱える家族が介護休暇制度を利用して、仕事と介護が両立できるよう促す。
山田さんは、改正介護保険法の背景について、「1人暮らしや老老介護の増加などで介護の担い手が足りない現状がますます深刻になっている。もちろん財政が逼迫(ひっぱく)しているという事情もある。そのために、地域全体で介護状態の人たちを見ていくという考え方を進めていこうとしている」と話す。 |
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