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地盤調査に“セカンドオピニオン” その地盤改良、本当に必要? |
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「現状では、欠陥住宅を防ぐための地盤保証のリスクヘッジを施主(消費者)が負っている形になっている」と指摘する山本強さん |
昨年の東日本大震災で、液状化被害など1戸建て住宅の地盤が問題となったのは記憶に新しい。こうした地盤のトラブルを防ぐために行われるのが、新築時や建て直す際の地盤調査、それに伴う地盤改良工事だ。ただ、地盤の改良は立地条件に適した方法で行うことが必要。一部で過剰工事が指摘されるなど、一概にお金をかければ安全・安心というわけでもない。施主である消費者は地盤調査会社の調査をそのまま信用するしかないのが実情。そこで、最近注目されているのが第3者の立場で地盤調査結果や改良提案を分析するセカンドオピニオンの存在だ。
「70%は工事不要」
「依頼を受けて地盤を解析したところ、その約70%は地盤改良工事が不要でした」と話すのは地盤ネット(株)(中央区)社長の山本強さん(45)。いわば過剰な地盤改良工事になっているという。同社は地盤解析の専門会社。工務店から依頼を受け、地盤調査会社が行った地盤調査報告書を第3者の立場で再検討。適切な改良工事が選べるようアドバイスしている。2008年6月設立の同社は、全国で累計1万棟以上の地盤解析などを行っているという。
1戸建て住宅の地盤で生じるトラブルには敷地の一部だけが沈み込む不同沈下や液状化被害などがある。建物の局所に負荷がかかることで基礎などの構造上重要な部分が壊れることがあるほか、地震による液状化で(基礎は壊れていないが)建物全体が傾いたというケースだ。
こうしたトラブルが起きやすいのは、軟弱地盤や、地下水の多い層が地表に近い地盤。盛り土や切り土の造成地や埋め立て地などは一般的に軟弱地表近くにある可能性が高いと見られている。また、水田を埋め立てた土地や水はけの悪い土地では地下水の水位が高いことが多いという。
先の東日本大震災でも埋め立て地の千葉・浦安市のほか内陸部でもかつての沼などを埋め立てた所で液状化が起きた。
自治体の情報も活用
地盤に伴うトラブルを避けるには、敷地周辺で既存の家屋の状況をチェックすることや、過去のトラブルの有無を近所の人に聞くことでも情報が集められる。また、自治体が公表している土地利用図やハザードマップ(災害予測図)なども参考にしたい。これらの情報を地盤調査の結果と合わせて設計に生かしていくことが大切だ。
将来も大規模な地震の発生が予想される中、住宅購入などの際に消費者は地盤をより重視するようになっている。問題は、地盤調査会社から改良工事が必要と言われた時、事実上、消費者は工事を行う以外に選択の余地がほとんどないこと。素人では地盤に最も適した調査や改良が行われているかを判断することが難しい。業者に言われるまま建物価格の5%程度の地盤改良工事を選択するケースも多いという。
例えば、地耐力に応じた基礎使用の場合だ。地耐力とは、地面にどれくらい建物を支える力があるのかを示す数値kN(キロニュートン)で示される。これに応じた基礎使用(布基礎・ベタ基礎・基礎杭)工事を行う必要がある。しかし国の建築基準(平成12年建設省告示1347号)によると、全物件の80%を占めるといわれる20kN以上、30kN未満の地耐力に応じた基礎は、コンクリート板のベタ基礎か改良工事が必要な基礎杭となっており、選択の幅が大きい。そのため消費者は、安心感を得るために過剰な品質である基礎杭を選ぶ可能性が高いという。
こうしたケースで地盤改良工事が必要かどうかを第3者の立場で再調査するのがセカンドオピニオン。地盤ネット(株)では、地盤の再解析を無料で行っている。また、希望者には8万4000円で地盤品質証明書と地盤解析報告書を発行している。保証期間は10年間、賠償金額5000万円。
これまで選択の余地がほとんどなかった地盤の改良工事。セカンドオピニオンを活用してみるのも1つの方法だ。 |
地盤ネット(株)
CS推進室・荒川 TEL.03・6265・1803 |
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