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 魚介類がおいしくなる寒い季節、瀬戸内海では岡山県備前市日生(ひなせ)町の“カキオコ(カキのお好み焼き)”がひそかなブームだ。大阪風お好み焼きともキャベツが盛りだくさんの広島風お好み焼きとも違い、とにかくカキが主役のカキオコはこの時期しか味わえない。また倉敷市は2005年秋から夜間景観照明「天領のあかり」をスタートし、昼間とはまたイメージの違う風情を楽しめるようになったと評判。そのほか、平安時代から日本刀の産地として栄えた瀬戸内市長船町で3月まで開催中の「赤羽刀」の企画展など、今だけの出合いを訪ねて、いざ岡山へ。


カキオコ一枚につき、8〜10個のカキを入れて焼いてくれる。そのほか、海鮮物の鉄板焼きなども
日本刀産地でかじ場見学
 瀬戸内海に面した小さな漁村、備前市日生町は、11月末から3月末までのカキのシーズンともなると、カキオコ、いわゆるカキのお好み焼きがメニューに登場する。
 「日本のファーストフード」であるお好み焼きだが、日生で食べれば立派な「スローフード」。どの店でも元気なおねえさん(注・日生ではいくつになっても女性は“おねえさん”と呼ばれる)やマスターが見事なコテさばきで丁寧に焼いてくれ、鉄板越しに会話を楽しんでいるうちにあっという間に時間が過ぎてしまう。
 カキもお好み焼きも広島を代表する味覚というイメージがあるが、日生も中国地方では隠れたカキの名産地。カキオコも半世紀にわたってこの地で愛され続けている。カキオコが全国区で注目されたのは最近のこと。岡山市に通勤する日生町や近隣在住の仲間が02年に「日生お好み焼き研究会」を結成し、テレビ番組で県内に放送されてからじわじわと広がり始めた。
 シーズン真っ盛りのカキはまさにぷりぷり。「ほり」の店主の堀律子さん(48)は、「ここじゃあ殻をむいてすぐに使うから、鉄板の上に置いてもすぐには縮まんのよ」と説明しながら、驚くほどの量のカキを入れてくれた。カキのシーズンは3月末ごろまで。東京ではちょっとお目にかかれない日生自慢の味を、ぜひ味わいたい。

かなり火花が飛び散るので、見学も命がけだ
 日生からJR赤穂線で30分、長船駅に着く。駅から車で7分も走れば「備前おさふね刀剣の里」だ。ここには刀剣博物館や鍛刀場、刀剣工房のほか、造剣の碑や長船刀匠を供養するぼだい寺などが残っており、日本刀・備前長船の歴史を感じることができる。
 吉備の国・長船は昔から砂鉄が採れ、砂鉄から玉鋼を作るのに必要な炭の原料であるナラ、クヌギといった樹木が多く繁殖していること、また交通の便のよさがかみ合い、「かじ屋千軒」と呼ばれるほど日本有数の生産量を誇った。
 見どころは、1300度の高熱で柔らかくした玉鋼を刀匠が打ち飛ばす様子が公開されている鍛刀場。玉鋼を打つ瞬間は、見るだけでもかなり危険をともなうほど迫力満点。爆発音にも似た音が鳴り響くと同時に、文字通り火花が飛び散る。伝統の魅力に一気に引き込まれる。そのほか、刀身とぎから刀身彫りなど、刀剣作りのすべての作業工程も見学可。
 同館では3月31日(金)まで、企画展「甦った赤羽根刀と火縄銃」を開催中。戦後、アメリカ進駐軍に接収され後に返還された、いわゆる「赤羽刀」が23本展示されている。

日生町観光協会(カキオコなど)TEL0869・72・1919
備前おさふね刀剣の里TEL0869・66・7767
岡山県観光物産課TEL086・226・7382

情緒漂う倉敷市でライトアップ観賞

江戸時代に建てられた
商家をを旅館にした
「鶴形」周辺もライトアップ
 倉敷川を中心に江戸情緒を誘う街並みが並び、岡山の中でも特に観光客に人気の高い倉敷。昨年秋から美観地区で、夜間景観照明「天領のあかり」が始まり、夜も楽しめるようになった。やわらかい光が町屋や白壁の蔵などをやさしく照らし、それらが川面に投影され、幻想的な雰囲気を醸し出している。
 演出を担当したのは、東京タワーなどのライトアップを手掛けた石井幹子さん。「当初はライトアップに対して、けばけばしいのではという懸念の声もありましたが、むしろ、これまでは日が暮れると文字通り真っ暗で寂しい雰囲気だった倉敷に、幽玄さが加わって夜も楽しめるようになったと好評です」と岡山県観光物産課の中原由紀恵主任はアピール。3月以降には倉敷のシンボル的存在である大原美術館の照明も実施される。