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 桃太郎伝説発祥の地は全国にいくつかあるが、中でも岡山県は史蹟の多さや特異性で他とは一線を画する。岡山市内には、京都・八坂神社に次ぐ日本第二位 の平面積を誇る吉備津神社があり、また巨大な古代山城遺蹟「鬼ノ城」の復元が始まるなど、“桃太郎熱”に街は沸いている。
 岡山県総社市に伝わる「温羅伝説」だ。この伝説が後に変化し、全国に伝わったものがおとぎ話「桃太郎」だと言われる。総社市観光協会会長・横田清巳さん(七〇)は言う。「伝説は、どんどん大げさに、目新しく変えられるものです。昔は鬼イコール悪でしたが、はたして本当にそうなのだろうかと市民は考え始めたのです。吉備の国はとても豊かな国だった。乱暴な鬼の統治で豊かな国になるのだろうかと」
 温羅と吉備津彦命が祀られているのが、平面積が全国で二番目の大きさを誇る吉備津神社だ。創建は古く、仁徳天皇の備中行幸にまでさかのぼるといわれる。全長約四百メートルもある長い回廊は、初めて訪れる人の度肝を抜く長さ。神社というよりまるで宮殿だ。
 
 

まるで巨大なすべり台?本殿と本宮社をつなぐ回廊

 吉備高原の南縁にある鬼ノ城(城というよりむしろ砦と言ったほうがいいだろう)は、朝鮮式の古代山城であることがこれまでの発掘調査で明らかにされている。温羅が渡来人だったという説に十分納得できる。城壁が山頂を取り巻くように二・八キロにわたって鉢巻状にぐるりと囲み、石垣の上からは吉備路全体と瀬戸内海が一望できる。
 鬼ノ城がつくられた1300年前には、城は海に面していたという説もある。もしそうならば、桃太郎が目指した「鬼ガ島」が鬼ノ城だという言い伝えにもぴったり合致する。いずれにせよ、こんな高台に城を築くことができるほどの財力を持った「古代吉備王国」の規模と勢力の大きさがうかがえよう。

 ところで、先述の吉備津神社の入り口に、「犬養毅」と彫られた大きな石柱があった。高さ三メートルはゆうにある立派なもの。なぜこんなところに?「桃太郎が連れて行った犬、雉、猿は、それぞれお供をした犬飼部、鳥飼部、猿飼部の長(おさ)たちだと言われています。その犬飼部の長の子孫があの犬養毅なんだそうです」
 吉備津神社へはJR岡山駅から吉備線で20分、吉備津駅を下りてすぐ。近隣の吉備津彦神社も端麗な品格ある佇まいで、四季折々の景色に映える西国一の社殿と言われている。

◇問い合わせは岡山県商工労働部観光物産課TEL086・226・7383
年内には西門の復元が完成予定。古代山城の本格的な復元は全国初の試み