今月の紙面  
 
 八月二十一日付各紙社説は十九日の国連バグダッド本部の爆弾テロ事件を取り上げている。ここではそれぞれの論調の違いをみることにする。
 読売は「ひるんだらイラク復興が遅れる」
 「国際社会は、テロ攻撃にひるんではならない。国家再建の後押しという目標を放棄したり、くじけていては、テロリストの思うつぼである」として「米国を中心に、治安確保のための一層の対策強化が求められる。国連安保理が、その創設を承認した国連イラク支援団(UNAMI)の役割を再考することも、検討に値しよう」と提起。
 「日本は、イラクへの自衛隊派遣を決めている。そうした基本姿勢を堅持すべきであることは、言うまでもない」と結んでいる。
 朝日は「恐れた通りではないか」
 「たとえ圧倒的な軍事力でフセイン政権を屈服させたとしても、その後、複雑な民族と宗教事情をかかえたイラクを安定させることがいかに難しいか」「私たちは開戦前から繰り返しそうした恐れを指摘し、アラブを含む国際的な協調と大義が乏しいままに戦争を急ぐことの危険性を説いた」と批判。
 では、どうするかといえば「即効性のある妙案はおそらく誰にもない」として「まずは米英両政府が、戦勝国として占領と復興を牛耳るのだという態度を改め、謙虚な姿勢で国連や欧州諸国に協力を求めることが出発点であるべきだ」「米英が治安をはじめとする占領統治の責任を果 たしながら、国連を主体とする平和と安定の枠組みへと移行する方法を多国間で協議する。そして、主権回復の介添え役としての国連の役割がいかに重いかをイラク国民に納得させる作業が必要だ」と一般 論に終始している。
 毎日は「治安・復興で安保理再協議を」
 「イラクの治安を含めた占領統治の責任は米英占領当局(CPA)に委ねられている。一方、国連は人道支援などの復興活動に重点を置いた活動を行っていた」とし、「米国には、治安確保、復興支援活動から統治のあり方も含めて安保理の場で今一度すり合わせの協議が求められるのではないか。国連がCPAの脇役として復興支援をするのではなく、もっと中心的役割を担う方策を検討する時期にきている」と提起している。
 日経は「国際社会を敵に回したイラク爆弾テロ」
 「イラクには現在、米軍が14万人、英軍が1万1000人、そのほか17カ国が計1万人の兵士を派遣、米国人のブレマー氏がイラク全体を統治している」が、この事件で「ブッシュ大統領は対イラク政策の再検討を迫られるだろう」とし、ドイツ、フランス、ロシアなどが兵士をイラクに出していない点を指摘して「国際協調体制の強化を前向きに考えるよう求めたい」とする。
 自衛隊については「現状では派遣を急ぐ必要はない。同時に日本の対応について国際的に十分説明すべきである」としている。
 産経は「人類社会への敵対行為―対テロ戦争で一致協力を」
 「国際社会はいまこそ、再び一致協力し、テロに対しては許さず、屈せず、ひるまないという決意を新たにし、あらゆる手段を動員して、対テロ戦への取り組みを強化すべきである」「イラク戦争に反対した仏、独などはイラク復興には、今も慎重姿勢を続けている。しかし、テロに反対し、イラク国民のためにイラク復興を急ぐという点に関しては異論はないはずだ」と指摘。
 自衛隊については「今回の事件をきっかけに、イラクへの自衛隊派遣をさらに延期すべきだという議論が出てきているが、むしろ逆ではないか。これからは、日本も国際テロに対し、国としてどのような姿勢をとるのかが問われることになる」として「爆弾テロがおきたというだけで、自衛隊の派遣に腰が引けたり、ましてや、政局を有利にするための道具にしてはならない」と注文。
 そして「『国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与する』(テロ特別 措置法第1条)という決意をいまこそ新たにすべきときである」と結んでいる。