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「ボーン・上田記念国際記者賞」選考委員会は2月19日、2003年度の同賞は該当者なしとし、代わって同賞特別賞をアジアプレス・インターナショナルの綿井健陽(わたい・たけはる)、ジャパンプレスの佐藤和孝(さとう・かずたか)・山本美香(やまもと・みか)の3氏に贈ることを決めた。
特別賞の贈賞は、ボーン・上田賞の歴史では初めてのことで、今回はイラク戦争の開戦前からイラクに入り、日本のメディアの記者が引き揚げたあとのバグダッドから、多くの困難と闘いながらニュース報道にあたった3氏の活動を評価して贈賞することとした。3氏はいずれも独立系のジャーナリストのグループに所属しており、映像とプリント、2つのメディアの間を自由に往き来し、既成のメディアの枠にとらわれずに活動する「ビデオ・ジャーナリスト」の時代の到来を物語るものといえる。
授賞式の日程は未定。
綿井氏は、3月10日にイラクに入り、その後約1か月半バグダッドに滞在して、空爆下やフセイン政権崩壊前後の首都の状況を報道した。綿井氏は小型のビデオカメラを使い、TBS「筑紫哲也ニュース23」やテレビ朝日「ニュースステーション」などで最新の情勢を伝え現地から中継した。この間、首都の日々の状況を共同通信に書き送った記事は「戦火のバグダッド」と題して多くの地方紙に連載された。同氏はその後、8月と11月にもイラクを訪れ、混迷が続く戦後イラク情勢を取材した。これらの取材の成果は、テレビ、新聞のほか、雑誌(『論座』など)その他の出版物にも掲載された。
綿井氏は1971年、大阪府生まれ。97年から記者活動を始め、これまでにアフガニスタン、東チモールなどでの取材を経験している。現在は、独立系のジャーナリスト・ネットワーク「アジアプレス・インターナショナル」に所属している。
佐藤・山本両氏は2003年3月17日から4月19日までバグダッドに滞在。開戦前から首都陥落後までのバグダッドの状況の取材、報道にあたった。両氏はチームを組み、ビデオカメラを駆使して首都への空爆や米軍の進攻におびえる市民の表情などをとらえ、日本テレビ「きょうの出来事」「ニュースプラス1」などを通じて視聴者のもとに伝えた。また両氏の現地リポートは産経新聞、日刊ゲンダイなどにも掲載。さらに戦後のイラクも2度にわたって取材し、テレビ、雑誌などを通じてその成果を報告している。
佐藤氏は1956年、神奈川県出身。80年代以降、アフガニスタン、フィリピン、ボスニア、チェチェンなどの紛争地帯の取材経験が豊富で、現在は独立系通信社、ジャパンプレスの代表を務めている。
山本氏は1967年、山梨県出身。CS放送局、朝日ニュースターの記者・ディレクターなどを経て、96年からジャパンプレス所属。以来、アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、ウガンダ、コソボ、インドネシアなどを取材している。今回のバグダッド取材の成果は『中継されなかったバグダッド』(小学館刊)にもまとめられている。
ボーン・上田賞は、太平洋戦争の前後にわたり、報道活動を通じて国際理解の増進に寄与し、1949年に事故死したマイルズ・ボーン元米UP通信社(戦後はUPI)副社長と上田碩三・元電通社長の業績を顕彰するため、日本の報道界およびボーン未亡人の拠金により、1950年に設けられたもので、毎年、優れた報道活動で国際理解に貢献したジャーナリスト個人に贈られている。 |
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