法律
境界線を越えた竹木の規制
【問】竹木の枝が境界を越えて隣地の私道(共有の場合、個人所有の場合)に及んだ場合、また公道に及んだ場合に対応する法令措置と対応する判例を併せて教えて下さい。(国分寺市 男性83
歳)
【答】竹木については、建物や井戸、用水溜等のように境界線付近での規制がないので、境界線近くに栽植できます。しかし竹木の枝や根が隣接地に侵入すれば隣地の所有権を侵害することになるので規制が必要です。そこで民法は「隣地ノ竹木ノ枝カ疆界線ヲ踰ユルトキハ其竹木ノ所有者ヲシテ其枝ヲ剪除セシムルコトヲ得隣地ノ竹木ノ根カ疆界線ヲ踰ユルトキハ之ヲ截取スルコトヲ得」(二三三条)と定めています。越境している枝については隣地所有者に対し越境部分を切り除くことを請求できるのです。所有者が請求に応じないときは裁判を起こしてその判決で強制執行することになります。しかし越境が隣地所有者に損害を与えていない場合あるいは損害が極めて少ないときは、請求が権利の濫用となることもあります。
根については、隣地所有者はその越境部分を所有者の承諾なく截取できます。この場合も何の不利益も受けていないのに根を截取すると権利の濫用になります。これらのことは隣地が私道や公道の場合も同様です。私道が共有の場合は管理行為として過半数の共有者によって請求できます。判例では別 荘地のヒマラヤ杉を隣地旅館主が伐採したケースで旅館主に損害賠償を認めると同時に所有者にも過失があったとして過失相殺を認めたり、また共有通 路について共有者の一方から他方に対して枝の剪除が認められた事例があります。平成十五年の判決では市道走行中の自動車が私有地から張り出した樹木に接触し損傷した事故で、市に対する損害賠償請求が認められています。判例時報一八一八号。
(弁護士 山下英幸)TEL03・3508・0581