法律  
生命保険金の分配相続はできるか?
【問】両親は離婚しておりますが、私には兄が一人おります。今年五月十日に亡くなった父は、生命保険金二千万円の受取人を兄にしていました。この場合、保険金は兄と私で分配するのでしょうか。父は他に預金がいくらかある程度で、不動産などはありません。
(千葉市 女性35歳)
【答】生命保険金請求権が相続財産となるか否かの問題です。生命保険金請求は被保険者の死亡を原因とする点で相続と似てますが、保険契約で受取人を指定することができる点で大きな相違があります。判例によると、保険金受取人を指定している場合は、第三者のためにする契約の効果 として生命保険金請求権を受取人が固有の権利として取得するので、相続財産には含まれないとしています。しかし、被相続人が保険料(掛け金)を負担している点からみると、贈与ないし遺贈と実質的に同一とみることができるので、色々な考えがあります。
 第一は、保険金請求権は形式的にも実質的にも受取人の固有の権利であると割り切る説。第二は実質的に贈与ないし遺贈があったとして、その受取人を特別 受益者とし、遺留分の規定を適用する説。第三は受取人を特別 受益者とするが、遺留分の規定を適用しない説、とがあります。第一の考えはすっきりしますが、今回のような場合、お兄さんだけが財産を取得し、他の相続人はわずかの預金を取得するのみで、被相続人が保険料を払っていたことを考えると不公平であることは否定できません。第二の考えは相続人間の実質的な関係を考慮していますが、逆に固有の権利である面 を軽視していると思われます。その点、第三の考えが折衷的で最も妥当な考え方ではないかと思われます。話し合いによる解決を。(弁護士 山下英幸)TEL03・3508・0581