医療  
高血圧症の治療は
【問】今秋9月に定年退職するものですが、定年後も働きたいと思っています。それには健康が第一と考え、近くの医院で健康診断をしてもらいました。検査の結果、軽い高血圧症だといわれました。治すためにはどんな治療をしたらよいのか教えてください。
(練馬区 男性59歳)
【答】高血圧は生活習慣病のひとつであり、本人のライフスタイルと遺伝的素因が絡み合って発症し、虚血性心疾患や脳血管疾患など動脈硬化性疾患(動脈硬化症)の重篤な合併症の引き金になります。
 動脈硬化症は日本人の主要な死因であり、この動脈硬化症は、高血圧以外にも耐糖能異常(糖尿病)、高脂血症、肥満、高尿酸血症などさまざまな危険因子によりもたらされます。最近、極めて軽症の高血圧、耐糖能異常、高脂血症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症)などの危険因子が集積し、動脈硬化症の発症につながるメタボリックシンドローム(代謝症候群)が注目されています。
 また、糖尿病の持病を持つ方は、軽症の高血圧でも虚血性心疾患や脳血管疾患をさらに発症しやすいことも分かってきました。また、このたび高血圧学会から発表された2004年版高血圧治療ガイドライン(指針)では、糖尿病を持つ患者さんの血圧はより厳格にコントロールすることが必要であると提唱されています。
 このように血圧の治療は、血圧値のみならず、虚血性心疾患や糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙などの危険因子をどれだけ多く持つかにより、治療方針が変わってきます。まず、健康診断でこれらほかの危険因子が無いことを確認した上で、軽症の高血圧のみであれば、まず、食事療法を中心とした生活慣習の改善を数カ月間行い、目標の血圧に達しなければ薬物療法を行うことになります。
 目標の血圧は高齢者で140/90mmHg、若年・中年者で130/85mmHg、糖尿病や腎障害の治療を受けている方で130/80mmHgです。生活習慣の注意点は、塩分7g以下、コレステロールや脂肪を多く含む食品を避ける,アルコールは適量に、適度な運動、標準体重の維持、禁煙などです。また、血圧計を購入して毎朝、血圧を自宅で測定し血圧が安定していることを確認することも大切です。
(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科 蔵田英明)