医療  
秋になると肌がかゆくなる
【問】毎年9月下旬ごろから手足がかゆくなり、時には頭や体がかゆくなって、人前に出るのが恥ずかしいです。かゆみが始まるといつも薬局で買った塗り薬をつけていますが、いっこうに効果がなく、治りません。かゆみはどうして出るのでしょうか。
(茨城県下館市 男性66歳)
【答】皮膚の乾燥が原因と考えられます。冬季の乾燥した気候では、老若男女、皮膚が乾燥するのは周知の通りです。
 しかし、高齢者の皮膚をはじめ、皮脂欠乏症、胆汁うっ滞性肝障害、腎不全・透析患者、アトピー性皮膚炎では角質中の水分量が低下した潤いのない肌、すなわちドライスキンによる強いかゆみを呈することが多いようです。
 角質の水分保持には皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子の3つが関与しています。年を取ると、汗腺、脂腺の機能低下のため皮脂膜の形成が悪くなり、角質細胞間脂質の構成成分であるセラミドなども減少。皮膚バリアー機能の低下、角質の水分保持能低下、水分蒸散量の増加も招き、ドライスキンとなります。
 このような皮膚では外的刺激に対し敏感に反応し、容易にかゆみや湿疹(しっしん)が生じることになります。このかゆみは、通常、表皮と真皮の境界で終わっているはずの神経線維が表皮内深くの角質層直下まで侵入し、これが原因と考えられています。
 治療・予防の基本は、角質の保湿能の改善・保持にあり、人工の皮脂膜をつくるワセリンなどのエモリエント製剤、尿素やヘパリノイド含有酸性ムコ多糖製剤(ヒルドイドソフトRなど)、そしてセラミド含有製剤などのモイスチャライザー製剤が使われます。これらは入浴後、肌が乾ききらないうちに塗付するのが効果的です。湿疹化してしまった部分は、外用ステロイド剤を併用することになります。
日常生活の注意は
(1)入浴時の過剰な洗浄剤の使用、あかすりは厳禁
(2)保湿入浴剤は良いが硫黄を含有した入浴剤は慎む
(3)エアコン・暖房による低湿度化を避けるため、加湿器や植物の設置
(4)電気毛布、こたつは皮膚乾燥を助長するため避ける、といった点などが挙げられます。
(東京慈恵会医科大学第3病院皮膚科診療部長 太田有史)