ぶらり単線・出会いの旅
 

釣り客のおこぼれを待つ
猫の家族=高滝駅
ワカサギ釣りの太公望
●のどかな無人駅
 緑に囲まれた高滝駅は県道沿いにも関わらず、静かでひっそりとした無人駅。駅では五匹の猫の一族が迎えてくれた。朽ちかけたベンチの下から、じーっとこちらを睨んでいた。
 駅番で無銭乗車を見張っているのだろうか。いや、帰りの釣り客のおこぼれを期待しているのだ。
 歩いて約八分の高滝ダムへ。高滝ダムは「高滝湖」とも呼ばれ、洪水の被害防止と水道・農業用水を供給するために二十一年という歳月をかけて平成二年に誕生した湖。県内では貯水面 積第一位を誇り、市原市民の生活を担う。約二十キロのダムの周辺には水生植物園や野外音楽堂、テニスコートなどがあり、週末は家族連れでにぎわう。
 高滝ダムは釣り場としても有名。フナ、ヘラ、コイなど多種の魚が取れるが、やはり一番人気はワカサギ。十月十日の解禁後、最初の三連休では二千人以上が訪れたという人気の漁場だ。口コミで評判が高まり、東京や埼玉 、茨城などから太公望が訪れるという。
松本辰之助組合長
 ワカサギの卵の放流事業が始まったのは平成五年。以来毎年放流を続けており、「今年は近年になく魚影が濃い。体長十二、三センチの大物が期待できるよ」と、養老川漁業協同組合の松本辰之助組合長=写 真=が教えてくれた。一日の最高記録千百七十匹を抜こうと挑戦してみるのもいい。ワカサギ釣りは来年二月末まで楽しめる。
大正14年の開業当初
そのままの里見駅舎
 高滝駅からひとつ下ると、里見駅がある。駅名は土地の豪族・里見氏によるものと伝えられる里見駅は、昭和三十八年まで砂利を採取するための特別 線路があったという。駅前は市原市加茂支所と市原中央消防署加茂分署のみ。加茂中学校も近くにあり、通 学自転車が駅舎脇に並んでいた。
イチョウだけを訪ねて
来る乗降客もいるという
=三峯神社の大イチョウ
 県道を歩き、民家脇の農道を歩くこと約二十分。市内でも巨木として有名な「三峯神社のイチョウ」がある。鎮守の森にひっそりと佇むイチョウは市指定の保護樹木とされ、高さ推定二十三メートル、幹周り十・三メートル(平成十一年現在)。どっしりと腰をかまえ、大きな影を作っている。いまは、地元の子供たちが木の周りで遊ぶことも無くなったそうだ。