ぶらり単線・出会いの旅
 

右から2代目の井上哲雄さん(55)、初代の博夫さん(80)、順子さん(49)、花子さん(74)
トタン屋根の小さな駅・西海鹿島。開業当初から無人駅だ

 ホームにぽつんとたたずむ小屋と3つのベンチ。西海鹿島(にしあしかじま)駅は、周辺住民の依願によって昭和45年3月に開業した、沿線で一番若い駅。隣の海鹿島駅までは直線距離わずか400メートルで、海鹿島駅に停車する電車を望むことができる。
 広大なキャベツ畑を横目に、歩くこと7分。小畑新町の銚子市市民センターは、公正市民館から公民館機能を移転し、2001(平成13)年にオープンした。
 建物は、1996(平成8)年に閉局した銚子無線電信局を改築したもの。1908(明治41)年5月16日、日本初の無線電信施設が設置され、その11日後には横浜からシアトルに向かっていた丹後丸との間で初めて無線交信に成功。その後、1929(昭和4)年に受信所と送信所を分離し、受信所は同地に移転した(通称・小畑無線)。通信相手は国内外の船舶や南極昭和基地など。1970(昭和45)年には年間130万通を超え、名実ともに世界一の無線局になったが、通信機器の近代化によってモールス通信技術の必要性が低くなり、88年の歴史を閉じた。

右神尾恒子さん
銚子市市民センター内の浜口陽三常設展示室
 センターは公民館棟、ホール棟、陶芸に利用できる創作棟の3つからなり、幼児から高齢者まで楽しく学べる憩いの場になっている。平日利用は圧倒的に高齢者が多く、「学習意欲に燃えている高齢者が多いです」と語るのは所長の神尾恒子さん。館内には銚子ゆかりの作家である銅版画の技法メゾチントの巨匠・浜口陽三と、銚子の風土と人々を描き続けた日本画家・渡辺學の常設展示室もある。
 同センターから200メートルほど歩くと、「郷土銘菓 木の葉パン」の張り紙を発見。ここ「井上博夫商店」は1961(昭和36)年から県の銘菓を製造・販売している。主力商品は「御煎餅落花生の味」「ピーナッツサブレー」など。木の葉パンは10年前から製造し始めたという。
 9センチ×5・5センチの卵型の木の葉パンは、実は焼き菓子。水を使わず、小麦粉と卵、砂糖を使って焼き上げる。素朴でどこか懐かしい味だ。「木の葉パンは明治時代からあったようです。昭和初期は1枚2銭ほど。子どもをあやすための乳児食、おやつとして親しまれてきました。形が木の葉に似ているから名付けられたと聞きますが、由来は定かではありません」と言うのは同店の2代目で、銚子菓子組合の組合長を務める井上哲雄さん(55)。「牛乳や紅茶に浸すとさらにおいしい」とか。

小畑無線で使用された無線機はロビーで見ることができる
木の葉パンは10枚350円。銚子ポートタワー、銚子菓子組合の38加盟店で購入できる。遠方の人には郵送も。井上博夫商店TEL0479・22・3784