ぶらり単線・出会いの旅
 

ヨーロッパ風の駅舎

 コトコトのんびり走る単線と、その周辺の街を巡る小さな旅。今月からは潮騒としょうゆの街・銚子を走る「銚子電鉄」10駅6・4キロ。まずは始発の銚子駅を訪ねた。
 千葉駅から特急しおさい号に乗って約1時間20分。総武本線の終点・銚子駅で、銚子電気鉄道、いわゆる”銚子電鉄”に乗り換える。
銚子駅はJRとの共同使用駅で、2・3番ホームの先端に、オランダの風車を模した駅舎とホームがある。レンガ造りのデザインで、「ヨーロッパスタイルの白壁と絵タイルが美しい」と関東の駅100選(平成9年)に選ばれた。

出発直前の車内改札。レトロな切符は鉄道ファン垂ぜんの的とか

 濃い茶と赤を基調にしたレトロな1両電車はもともと都内の地下鉄銀座線で活躍していたものだとか。出発直前に車内では補助員の改札が始まる。日中、銚子駅からは運転手と補助員が乗車するが、笠上黒生駅からは運転手のみの乗務となる。
 銚子電鉄の前身、銚子鉄道株式会社として営業が開始したのは大正12年7月。ガソリン機関車で運行していたが、2年後には電化され、昭和23年に現在の名称になった。
 銚子には、この以前にも鉄道があった。大正2年に銚子〜犬吠間で開業した銚子遊覧鉄道は、蒸気機関車で運行を開始。しかし、経営の不振と第一次世界大戦のため、大正6年に廃止された。その後、廃線跡を利用し、旧経営陣らによって大正12年、銚子〜外川間で銚子鉄道が開通。終戦以前は外川漁港で水揚げされた魚類やしょうゆの輸送が盛んに行われたという。

 80年の歴史を誇り、市民に愛され続ける単線。しかし時代の流れを止めることはできなかった。昭和30年以降のマイカー普及である。
 「交通機関としてだけではなく、銚子観光のシンボルとして、まず電鉄が元気でなければ」。1年前に立ち上がった「銚子まちづくり市民の会」は銚子の街をより良くしたいと意を同じくする約75人が集まり、行政と協働の街づくりを目指している。電鉄の活性もその一つだ。銚子電気鉄道運行対策協議会にも会員5人が参加し、情報開示や市民との協力などの提言を行っている。

鈴木俊雄部会長

 「観光のせきずいである電鉄がなくなれば、銚子の観光も骨抜きになってしまう。観光が元気になれば地場産業も活性化される」と同会に八つある部会の一つ、まちの活性化部会の鈴木俊雄部会長は語る。今後、同会はバリアフリーの歩道や銚子駅のトイレの整備など、あらゆる視点から取り組む予定だ。