ぶらり単線・出会いの旅
 

 昭和60年、銚子を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「澪つくし」で、沢口靖子演じるヒロイン・かをるが通学に利用していた本銚子駅。ホームには簡素な木造駅舎のみがあり、切り立った林の中をゆっくりと電車が通り抜けていく。梅雨には線路沿いに“アジサイの道”ができ、青と紫の花々が乗客の目を楽しませているそうだ。沿線で唯一、電車を上から眺められる歩道橋もあり、写真ファンや鉄道ファンも訪れる。

うっそうとした林の中を走る電車
潮の香りがほのかに漂う銚子漁港

 基本的に無人の駅だが、平日朝7時から1時間のみ、銚子電鉄をサポートする地元NPO法人「銚子ローカル鉄道ネットワーク」(通称CL―Net)のメンバーと電鉄社員が、駅から程近い清水小学校の生徒の安全な通学を見守るため勤務している。
 銚子電鉄をさらに盛り上げようと、CL―Netはさまざまなアイデアを形にしている。そのひとつが4種類の入場券。「裏面を、本銚子駅舎の絵、浅間神社お参り記念タイプ、デキ3(ドイツ型小型電気機関車)の絵、戦前イメージタイプにしました。ついつい4種類欲しくなりませんか? これからもおもしろい切符を展開していければ」とメンバーのひとりは語る。開業80年を記念した「デキ3絵はがき」も販売中だ。

 本銚子駅周辺は“坂の街”でもある。駅から銚子漁港までは、ゆったりとした下り坂が約1キロ続く。途中、地理学者・吉田東伍氏の終えんの碑がある海静寺からは、雄大な利根川の流れと対岸の茨城県波崎町、太平洋まで望める。東京の下町のような風情を醸し出す通りには、小さな駄菓子屋や老舗つくだ煮販売店、甘味処などが軒を連ねている。駅から徒歩約40分。銚子漁港の魚市場鮮魚直売所では、取れたての岩ガキやキンメダイが並んでいた。