ご利益石仏
 
 
 旧中山道に面し、うっそうとしたケヤキに囲まれた調神社(つきじんじゃ)。市民は古くから親しみを込めて「つきのみや」と呼ぶ。この神社の七不思議のひとつとなっているのが、狛(こま)犬ならぬ狛ウサギ。月待信仰から、月天子の使い姫として、かわいらしいウサギが参拝者を迎える。
 調神社の七不思議はこのほかに「鳥居がない」「境内に松の木がない」「御手洗池に片目の魚がいる」「日蓮上人の駒つなぎのけやき」「境内にハエがいない」「カがいない」―といったもので、真偽のほどはともかく、原因の分からない事柄は神秘性につながり、やがては信仰へと発展するものなのだろう。
 日本人は古来、万物に霊が宿すと信じており、西欧の信仰とは一線を画しているが、まさか西欧人も「ウサギまで信じるの?」と思わずぴょんと跳ねるに違いない。
 調神社には全部で8匹のウサギの彫刻が鎮座しており、その表情はどれも愛くるしく、気分を和ませてくれる。世界は今、各地で宗教戦争が繰り広げられているが、月をめで、草木や動物を愛するような日本人的な宗教観を持つことで、人間同士の災いの種も取り除くことができるのではないだろうか。JR浦和駅徒歩10分。