選者 小島千架子
特選三句
・うねりよりはじき出されし稲雀
  調布市 北野池音
〈評〉「うねり」の表現で実りの穂波の風が見え、またその度にあわただしく飛び出すスズメの一群が、見事にとらえられています。
・手の甲へ秋の蚊の来る写経かな
  渋谷区 長岡貝郎
〈評〉一読、刺されそうな、そして刺されたかゆみまで感じてしまいますね。作者は蚊を打ったのでしょうか―。
・一礼に返す一礼水澄めり
  府中市 村田 暹
〈評〉句は人なり。この季節感を象徴する「水澄めり」の言葉に、さわやかな作者の日常の在り方を、垣間みたような作品でした。
入選五句
・若き日の服捨てられず土用干 立川市 落合 肇
・胡麻を干す生涯教育受けながら 東久留米市 根本澄子
・点滴の音なき音よ初しぐれ 世田谷区 広田ケン
・秋日洩る泉鏡花の筆の塚 練馬区 島崎俊雄
・隠元の蔓切りてより雨催ひ 大田区 安原 誠
[選者から]俳壇へご投句の皆さまへ。たくさんのご投句うれしく拝見しています。選外になられても、あきらめず頑張ってください。
 投稿は毎月25日までに、はがきに俳句2句、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、選者の小島千架子氏(〒167-0034 杉並区桃井1の20の12)までお送りください。はがきの表面には必ず赤字で「定年」と明記を。(編集部)