選者 小島千架子
特選三句
来し方の戦を語る日向ぼこ
  江東区 田中多津子
〈評〉今は、70歳以上の人でなければ語れない太平洋戦争という戦いのこと、空襲のこと、原爆のこと、戦の話をしながら、日なたぼっこのありがたさを思うのです。
・初明り禰宜の沓音近づきぬ
  稲城市 佐藤一雄
〈評〉元日の朝のほのぼのと差す光を初明かりといいます。鳥も目覚め始めるころ、神前へ近づいてくる神官の木ぐつの響きに、おのずと襟を正し淑気を感じるのです。
・どんど火にかざす手どれも武骨なる
  調布市 北野池音
〈評〉小正月を中心に、14日または15日に行われる火祭りの行事です。厄を払い、けいこ事の上達を願い、子の成長を願う人々が集って、炎を囲むのです。その手は働き者の手なのです。平和で健康な喜びです。
入選七句
・笹鳴や丸太の橋をひとりづつ 渋谷区 長岡貝郎
・何時しかに読み手となりしかるた会 世田谷区 高橋正直
・母を待つ児のすべり台冬茜 杉並区 山口 茂
・建ちかけの鉄骨途絶え冴返る 足立区 湧井信雄
・雑煮箸とりてめでたき顔となり 西東京市 今井秀夫
・落ちてなを朱の息残す寒椿 練馬区 猪股みづ
・亡き父の座に夫のをり掘炬燵 世田谷区 長谷川瞳
[選者から]俳壇へご投句の皆さまへ。たくさんのご投句うれしく拝見しています。選外になられても、あきらめず頑張ってください。
 投稿は毎月25日までに、はがきに俳句2句、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、選者の小島千架子氏(〒167-0034 杉並区桃井1の20の12)までお送りください。はがきの表面には必ず赤字で「定年」と明記を。(編集部)