| 選者 山下和夫 |
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・戦に帰らぬ
父の顔も見ずわれの息子も定年となる
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| ・法界定印組み続け居るてのひらに汗つぶて落つ音たてず落つ |
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| ・「日向灘きれいですね」と言いしのみに別
れし友よ学徒出陣に |
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| ・締切りのせまりたる美展にふるさとの最上川描く今日古希迎え |
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| ・酒飲まぬ
父の子にしてこの我は父より生きてなお酒強し |
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| 〈評〉一首目、作者生涯を通
しての思いの中に戦死した夫と、残された子息だけがある。その子息も定年となる。長い年月の中にふと己に帰った作者の嘆息と矜持が聞こえる。二首目、法界定印は、掌を合わせ指を組みめい想をすること。真夏の座禅であり、汗がつぶてとして手のひらに落ちる。「音たてず落つ」とくり返しにより、心頭減却し微動だにしない作者像も見えてくる。 |
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| 投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部) |