| 選者 山下和夫 |
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・音もなく降りいる雨にリストラをされし如く人形捨てられており
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| ・定年は出発なりと言いきりし夫の靴を念入りに拭く |
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| ・遥かなるわれの戦旅の物語りを頷(うな)ずきくれし妻すでに亡し |
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| ・この寺のこの禅堂にしかと今宵座禅組み継ぐ六百年を |
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| ・開拓団の学友しのぶハーケンを天水山に久びさに打つ |
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| 〈評〉一首目、二句までの状態描写
が暗い現状を暗示させ、そこに捨てられた人形に今日の不況を冷ややかに視ている。二首目は「言いきりし」に夫の覇気と覚悟がよく出ている。そして、それを受ける妻の作者もまた、「靴を念入りに拭く」と喜び対応する。「出発」と「靴」の照応がよい。夫唱婦随、共に響きあう。三首目は、そうした妻を亡くした思いが詠われる。 |
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| 投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部) |