選者 山下和夫
・退任後常勤顧問になるという誇らしげなる友の文捨つ
  東京・小平市 清水晋
・年数度老いたる吾にも出番ありてスカイブルーのネクタイ結ぶ
  東京・小平市 飯野二朗
・ただ一軒日の丸を出す路地の奥に老人のおり今日は祭日
  東京・世田谷区 田中佐武郎
・千代ちゃんち飾り物など何もないいつも笑顔と糠漬けがある
  埼玉・上尾市 関口トシ子
・今日一日悔いのなき日でありしかと厨に立ちて米磨ぎており
  茨城・岩井市 古矢美世
 
〈評〉一首目、退任の節目にも人生模様が演出される。「友の文捨つ」に作者の心情が凝縮されている。二首目は少ない出番を喜び若やぐ自身を「スカイブルーのネクタイ結ぶ」に生き生きと表現。三首目、戦中派に日の丸は自身の生きの証しでもある。掲げたくない苦しみと掲げたい思いと、掲げる者へのせん望とがいまだに混在する。四首目、千代ちゃんの屈託ない人物像をほうふつとする。
 
投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部)