選者 山下和夫
はじめてのメール届きぬパソコンに老い捩じ伏せし喜びの湧く
  東京・武蔵村山市 古木 実
・生命線長きを心の頼みとし世帯しきりきたる厚き手をみる
  茨城・岩井市 古矢美世
・いつよりか腕時計を五分すすめおくうろたふる癖を危ぶみながら
  千葉・松戸市 小金美津代
・集まりて靖国桜献樹せしビルマの戦友(とも)ら十指に充たず
  東京・世田谷区 田中佐武郎
・昔とは思えずわれと同年の二十三歳特攻に死す
  神奈川・川崎市 前田廣義
 
〈評〉一首目、講習と学習を重ねた末の達成感が「老い捩じ伏せし」という喜びにあふれている。読者も拍手を送りたくなる。
 二首目、己を見つめ己を頼む健康な作者像が浮かぶ。そこには自省と誇りが重なっている。三首目、五分進めておくというところに、おかしさと哀感が漂う。四、五首目、作者には永遠に過去とならない現在である。
 
投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部)