選者 山下和夫
・故郷の山に猪(い)を狩り猪の肉を送りてよこす友のなおあり
  東京・東久留米市 西内魚州
・「おい」「あなた」呼びあいながら四十年過ぎにしわれらともに古希なる
  千葉・安孫子市 川上進也
・七種(ななくさ)の揃わぬままに粥とせし妻入院の男鰥(やもめ)は
  埼玉・小川町 浅見庫次
・桜咲く九段の坂を登りゆく戦友(とも)に会うためまたわが青春(はる)に
  東京・世田谷 田中佐武朗
・春爛漫ビルマに散りし兄思う亡き父の植えし桜の下に
  東京・世田谷 松島千鶴子
 
〈評〉一首目、故郷は生涯変わらぬ心のよりどころ。昔ながらの友がおり、昔ながらの生活が継続し、異郷の作者はその恩恵に感謝している。二首目、四十年には種種の起伏もあったであろうが、振り返れば共に頼り、助け合いながらの四十年でもあったであろう。しかも共に古希を迎えた喜びが静かに歌われている。三首目、やもめのさみしさと一応の満足感。四、五首目、桜は生と死の象徴。
 
投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部)