選者 山下和夫
・万の椋鳥寝しずまりたる竹林に私語物音の一つもあら
 
東京・東久留米市 西内魚州
・羽抜鶏 枯蟷螂とお互いをからかいあいて日向に二人
 
千葉・柏市 吉川公朗
・職退きて拘束のなき日日となり叙情するときわれを忘るる
 
東京・足立区 須長 彬
・四十五年振子ふりつぐ古時計週に五分の遅れるもよし
 
東京・小平市 飯野二朗
・戦知らぬ子らと入場行進す「戦場にかける橋」に合わせて
 
東京・東久留米市 小島範浩
・ハンドルを握らぬと決めし真昼なり仏間に小さき灯りをともし
 
埼玉・入間市 中村元子
 
〈評〉一首目、昼の騒然たるムクの大群と比較して、夜の無音をとらえている。「私語」も「あらず」という所に、ムクを擬人化し、大軍が潜伏している不気味さを感じさせる。二首目、達観しあっている夫婦像が見える。荒波をくぐり抜けてきてたどり着く場と時であろう。以下いずれも年輪のある人生から詠まれている歌。
 
投稿は、はがきに「定年歌壇」と記入のうえ、短歌二首、住所・氏名・年齢・職業・TELを明記し、〒370-0834 高崎市南町8-7 山下和夫氏宛へお送りください。(編集部)