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  お茶の間けいざい 平成25年3月上旬号  
定年後の働き方 人材派遣「高齢社」・上田研二会長に聞く

上田さんは東京ガスで検針員からスタートして理事、子会社社長を歴任した。ユニークな経営哲学を持っており、午後4時以降、客にビールを出すのもその一つ
 5年前に日本の高齢者人口は21%を超え、2030年には30%に達すると予想されている(総務省統計局「国勢調査」など)。そうした中、着実に増えているのが定年後も働くことを希望する高齢者たち。そうした社会ニーズの高まりに応え、高齢者の人材派遣業を積極的に展開しているのが(株)高齢社(千代田区)だ。会長の上田研二さん(74)は、「経験や技術を持つ高齢者は社会の宝。その活躍の場を広げることは少子化に伴う労働力不足を補う有効な手段」と考え、「定年だから、と働くことをやめるのはもったいない」と話す。

 1938年、愛媛県出身の上田さんは00年頸椎(けいつい)症にかかり、04年にはパーキンソン病が判明した。現在はゆっくりとしか歩けないが、今も自宅から会社のある神田まで電車で通勤する毎日。「今が人生で一番働いています」と目を輝かす。

 サラリーマンが定年になると「毎日が日曜日」とばかり旅行やゴルフ、カラオケなど、それまでやりたいと思っていたことをやってセカンドライフを楽しく過ごそうと考える人は多い。「しかし、半年もすると暇を持て余すようになる人がほとんどではないでしょうか」と上田さんは言う。これまで多くの高齢者を見てきた上田さんは、「無理せず仕事をし、その合間に遊ぶのが一番いいセカンドライフの過ごし方なのでは」と感じている。

緊張感が好影響
 その理由としてまず、仕事をすることで適度な緊張感と責任感が生まれ、それが刺激となって健康にいい影響を及ぼすこと。また、職場の仲間と仕事をすることが生きがいにもつながる。その上、年金を受給しながら稼いだお金は“小遣い的”な収入のため、孫へ何か買ってあげるなど気持ちよく使えること—などを挙げる。

 「働くことで高齢者は元気になります。また、健康に過ごすことで国の医療費も減少してきます。すると現役世代の負担が軽減されるなどまさに、定年後も働くことはいいことずくめなんです」と上田さんは強調する。

 長年、東京ガスやその関連会社で勤務してきた上田さんが高齢社を起業したのは61歳の時。ある講演会で話を聞いていて、少子高齢化時代の到来で労働力不足や技能の継承問題が深刻になり、高齢者の活用が必要になると確信したからだ。

ワークシェア実践
 当時は東京ガスの子会社社長として会社の再建に取り組んでいる最中だった上田さんは、高齢社の社長には就任できなかったが、高齢者が働きやすい会社をつくるためにワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を重視。登録社員の勤務体系は週3日が基準。勤務日は本人の希望を聞いて決める。そして、業務全体にワークシェアリング(勤労者同士で雇用を分け合うこと)を実践し、同じ仕事を2人1組で行う体制にした。

 ポイントは年金併用型で働けること。受給している年金額を減らさずに、社会保険を負担せずに済む程度の給与、月8万円〜10万円を稼いでもらうことを高齢社のビジネスモデルにした。

 00年に設立された高齢社はその後順調に業務を拡張、昨年度の登録社員数491人、売上高3億8200万円、経常利益2200万円、株主への配当率は06年度以降12.5%(09年度は特別記念配当20%)を続けている。

 主な人材派遣先は、ガス関係業務(新築マンションなどの設置機器の仕様説明や移転した顧客のガスメーター閉栓業務など)を中心に家電修理アシスタント、建物清掃、倉庫管理、運転代行、事務補助、リフォーム後の施工品質点検ほか。

 また、男性だけでなく女性のために最近始めたのが「かじワン」というサービス。家事代行や支援、介助、ベビーシッターなどのサービスを40代〜60代のスタッフが1時間1980円から提供している。高齢社の登録社員入社資格は60歳以上、75歳未満で、登録後は仕事ができるまで(ただし、本社スタッフは63歳定年制)。また、リストラは行わないという方針で、やむを得ない場合は、社長がまず辞めることを宣言してリストラを行うとしている。

 問い合わせは(株)高齢社 TEL.03・5296・7823

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