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健康方法は、「よく歩き、よく眠ること」
と岸田さん
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オペラ初心者でも楽しめるように、オペラ好きの女優3人のおしゃべりを交えて演奏を聞く“おしゃべりコンサート”「歌に生き、恋に生き」。20日に開催される同コンサートに、冨士眞奈美さん、吉行和子さんとともに出演する岸田今日子さんは、「オペラはハッピーエンドではないものが多いので好きです」と語る。おっとりとしていてどこか夢見ているような雰囲気の奥には、「わたしはマイナー(少数派)」という独自の志向がある。
岸田さんが1番好きなオペラは「ボツェック」。「曲や全体の構成、前衛的な演出が素晴らしくて、はまりました。この話は究極の恋愛と言っていいでしょう」
兵士のボツェックは妻と息子を、貧しいながらも必死で養っている。そんな中、生活に疲れた妻の浮気を知り、ボツェックは妻を殺してしまう。
究極の純愛の果てに、「死」を迎える話が多いオペラ作品。「たいていの愛には必ず障害があるのではと思います。毒があって、まともでないほうが好き」という独自の価値観は、岸田さんの「純愛」にも反映されている。
「わたしには30年片思いしている人がいます。本当に好きなんですよ」と実にいとおしそうにほほ笑む。かつて岸田さんが結婚していた時、友人から関係が発展しそうになったことがあった。
ある日、「明日の夕方電話します」と相手から言われた。「恋愛関係になったら終わりがあると考えてしまうので、恋人になるのが怖かった」。岸田さんは電話がかかってくるという時、耐え切れず家から出て用もないのにぶらぶらしていた。帰宅すると、夫から「○○さんから電話があったよ」と言われ、岸田さんは「そう?」と答えてそのまま。
その後、相手に会っても一切そのことには触れなかった。相手の恋愛や結婚の話が聞こえてくると、心にとげがチクっと刺さる。「でも、それはそれで楽しいし」と見返りを求めず、愛すること自体を楽しんでいる。「ドラマチックなものが好きで、ハッピーエンドは嫌い。だからハッピーエンドが少ないオペラに向いているのかも」。ときめき続ける岸田さんに、こちらもうっとりしてしまう。
「わたしはいろんな意味でマイナーです」。役選びにおいても同じだという。
内気な少女だったという岸田さんは、初めから俳優を目指していたわけではなく、舞台装置をやりたいと文学座附属演劇研究所に入った。しかし舞台で俳優が足りず、オーディションに駆り出され、1回だけという約束で出演した。そのけいこが面白くて、劇作家である父・岸田國士の猛反対を押し切って俳優の道を進む。
「子供のころはほめられたことも、得意なこともありませんでした。だからオーディションで選ばれた時はうれしくて、自信はなくてもやってみようと思ったんです」。少数の人でもよかったと思ってもらえればうれしい。それがマイナー志向を築いたのか、大勢の観客の前でライトを浴びるのは望まず、大劇場で行われるような商業演劇には出演しない。
演劇集団「円」を作って30年がたつ。「年齢を重ねるにつれ、創作劇をやりたいと思うようになりました」。大人と子供が一緒に楽しめる作品を作らなければと、現在「こどもステージ」の企画に携わっている。「面白いと感じるところは違っても、子供もいつか、大人が楽しむ部分を分かるようになれば」。作品は谷川俊太郎氏らの書き下ろし。「年に1本公演し、20本以上できました。これは続けなければ意味がありません」。続けていく強さがなければ、マイナーなものが評価されるのは難しいのかもしれない。
岸田さんは私生活でも子供と楽しみを共有している。現在、娘家族と一緒に住んでいて、2人の孫には「今日子ちゃん」と呼ばれている。「わたしは主婦に向かないので、娘の“長女”になりました」。
“小さい弟”の孫とはよく部屋の中に街を作って遊んだ。積み木などを組み立てて家を作り、電車を通し、段ボール紙を黄色く塗って糸でつるした月を作り、上げたり下げたりする。まるで舞台装置のよう。
世代の違う“兄弟”間の遊びを通して、岸田さんの知識が子供に伝わる一方、子供の想像力には驚かされることも多い。孫が戦隊ものの善い者・悪者の人形を持ってきて「月が2つあったとき、悪者は善い者だったの」と突然言った時は、「触発されましたね。月が2つあった記憶があるんじゃないかと思った」という。
実らぬ片思いを楽しみ、娘家族の“長女”になり…と独自の道をしなやかにゆく岸田さん。その独自路線は、気の向くままに選んだものではなく、考えた末のもの。うっとりとした表情の下にあるしんの強さが魅力だ。
「女優3人が贈るおしゃべりコンサート“歌に生き、恋に生き”〜オペラの名曲でつづる様々な愛のかたち〜」は、20日(日)午後2時から東京オペラシティ コンサートホール(京王新線初台駅直結)で開催。関定子(ソプラノ)とベー・チェチョル(テノール)が、「トスカ」や「蝶々夫人」からオペラの名曲の数々を歌う。S席8000円〜B席5000円。
TEL 03・53887・9990