旅の情報  
松林を望みながら入浴できる、
大浴場「月読」の露天風呂

 NHK連続テレビ小説「わかば」の舞台として注目を浴びている宮崎県。豊かな緑と温暖な気候は、観光客を南国リゾートへといざなってくれる。昨秋フェニックス・シーガイア・リゾートには和風の温泉施設が誕生。そして“安心日本一の食料供給県”を目指す宮崎は、残留農薬野菜の流通ゼロを目指して、安全な農作物栽培に取り組んでいる。
スパ・レストランを備えた
“松泉宮”誕生

 宮崎市の大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」に昨年10月、温泉やスパ、レストランを兼ね備えた「松泉宮(しょうせんきゅう)」が誕生した。
 シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートに隣接する松林の一角にある松泉宮は、貸し切り風呂「離れ湯」、中浴場「新月」、大浴場「月読(つくよみ)」の3つからなる。純和風のたたずまいをみせる「離れ湯」は6棟すべて露天風呂。予約をすれば、タイ・プーケットの高級スパ「バイヤンツリー・スパ」のセラピストによる極上トリートメントを受けることができる。「新月」は内湯と露天風呂の仕切りがないので開放的な温泉空間。最大70人収容の「月読」には内湯と露天風呂、サウナ、そして月明かりを楽しむ月見台があり、松の木々に囲まれながらゆっくりと入浴することができる。
 温泉は地下1000mからくみ上げており、多少のぬめりが特徴。刺激が少ない中性の強食塩泉で、体のしんからぽかぽかする。1日380トンもの豊富な湯量を誇り、神経痛や関節痛、慢性婦人病などにさまざまな効能があり、若者から中高年まで幅広い層に支持されている、宮崎の新スポットだ。
 宮崎の花・ハマユウをあしらった浴衣を着て全長約230mのゆかたウオークを歩けば、春には新緑、秋には紅葉と、四季折々の風情を感じることができる。
 宿泊客中心だが、日帰り入浴も2000円から利用可能。松泉宮の問い合わせTEL0985・21・1113

超臨界抽出装置について
解説する安藤孝さん

優れた残留農薬検査 全国有数の農業県へ
  ピーマン、キュウリ、サトイモ、ダイコン…。温暖多照な気候を生かし、宮崎県では多種多様な農作物を手掛けている。中でもピーマンは全国1位、キュウリ、サトイモは2位のシェアを誇り、全国有数の農業県である。“宮崎の農”を支えているのは、2時間で200種類の農薬を一度に分析でき、産地の自主検査において日本最大の残留農薬検査体制である「宮崎方式」の確立が大きい。
 従来の残留農薬分析では、検査結果が出るまでに2週間もかかり、買った野菜の安全性が確認された時には、既に消費者のおなかの中、という現実があった。そこで宮崎県では平成8年から残留農薬分析方法の抜本的な見直しを始めた。そして一度に32種類の農薬を2時間で分析することに成功。平成11年に、全国で初めてこの宮崎方式を使って自主検査を行った。
 宮崎方式なら出荷前に検査結果が出るので、基準を超える農薬が検出された時にすぐ出荷をストップできる。農作物はすべて廃棄、原因を厳しく追求する。「出荷停止は生産者にとって大きな痛手。近年は生産者側の農薬に対する意識が高まり、違反件数は減っています」と語るのは宮崎方式の開発者の1人、県総合農業試験場の流通科学科科長の安藤孝さん(43)。昨年度の検査は4000件で、うち16件の流通を見合わせたという。
 宮崎方式の特徴は、コーヒーからカフェインを抜き、カフェインレスコーヒーを作るときに使う「超臨界流体技術」を応用したこと。手作業で農作物を粉砕し、管を超臨界抽出装置にセットすれば自動で作業が行われ、農薬が検出された場合はコンピューター内の農薬データベースと照合する。
 技術改良を重ね、現在は一度に200種類の農薬の残留量を検査できる。検査対象は野菜、果実、コメ、茶などあらゆる農作物で、無作為に選出。今年度は5000件の検査を目標とし、検査種類も400種を目指す。「宮崎の農作物はどれも安全、という認識が定着し、手に取ってもらえればうれしいですね」
 平成14年の無登録農薬問題以降、現在は国内十数団体が宮崎方式を採用しているという。

こくがあってまろやかな味わい
「冷や汁」


郷土料理“冷や汁”
 宮崎を訪れたら、“ファストフードの元祖”とも言うべき手軽で素朴な郷土料理と、霜降り肉の最高級黒毛和牛を味わいたい。
 宮崎の郷土料理「冷や汁」は、焼き魚やイリコなどとみそをすり鉢で合わせ、それを湯でのばし、木綿豆腐、キュウリ、青ジソなどを加えて、あつあつのご飯にかけて食べる、ヘルシーで栄養満点な田舎料理。夏場、食欲がないときに、短時間でサラリと食べられるよう、農民の知恵が凝縮されている。どの家庭の冷蔵庫にも、オリジナルの冷や汁があるという。香ばしいみそとショウガやミョウガなどの薬味の香りが、一層食欲をそそる。
 また宮崎名産である最高級の黒毛和牛「宮崎牛」も欠かせない。宮崎牛とは、同県内で肥育され、日本食肉格付協会が定める格付基準の肉質等級4等級以上のものを指し、全頭にBSE(牛海綿状脳症)検査を行っている。肉質がやわらかくジューシーな宮崎牛は、JA宮崎経済連直営の宮崎牛鉄板焼きステーキ「ミヤチク」(宮崎市新別府町)をはじめ、県内の指定店で手軽な値段で味わえる。

定年時代1月上旬号を見る