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遺言後のトラブルも防止
遺言者の夫から、財産の管理や保全を通じて高齢の妻の面倒を託された者がそれをせずに、勝手に財産を使ってしまう—。こんな事例を防ぐのに効果があるのが福祉型信託制度。高齢者や知的障害者、年少者を受益者とする財産管理や生活支援で同制度を利用することが徐々に増えている。
福祉型信託は、委託者(遺言者)の死後も妻など受益者の安定した生活を確保するのを目的としている。手続きは公証役場で行い、金融機関の信託銀行は絡まない。
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福祉型信託の基本的流れ |
その具体的な流れは【右図】の通りだ。高齢者や障害者など、生活に伴うお金などの管理能力に乏しい者を抱えた委託者(遺言者)Aさんが、しっかりした親族、あるいは税理士など専門職の受託者Bさんに相続財産を委託→BさんがAさんの財産を管理・運用し、あるいはそれによって得られた利益を受益者Cさんに給付する—となる。
福祉型信託の利用を相談者に勧めている蒲田公証役場の遠藤英嗣公証人は、「信託は財産の管理と保全、それに財産を次の人に継承させる機能が中心」と話す。2年半前に施行された新信託法による信託制度を利用するには、(1)委託者が受益者の生活支援を約束(信託契約)する場合(2)遺言で財産管理と生活支援を託する場合—があるという。
たとえ、わずかな財産でも委託者(遺言者)がその財産を娘などに託して妻(受益者)の生活費などが必要になるたびに渡してやるケースなどにも適している。
この信託制度は、財産の保全・管理を法律にのっとってやらなければならず、受託者が委託された財産を自分のものにはできない。また、受益者保護のために、信託監督人や受益者代理人を置くこともできる。
福祉型信託制度などについての問い合わせは蒲田公証役場TEL03・3738・3329
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