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多種多様な「描き文字」創出 グラフィックデザイナー・竹久夢二 |
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竹久夢二 『fruits』NOV．
1929年 竹久夢二美術館蔵 |
大正ロマンを象徴する画家・竹久夢二（1884〜1934）が、今から100年前に“かわいい”を発信していたことを知っていますか？
夢二といえば、憂いを帯びた表情に加え、ほっそりした姿の女性絵「夢二式美人」をイメージされると思います。夢二は、そのような作品制作と並行し、「可愛い」という言葉を用いて自身がデザインした雑貨類を宣伝。1914（大正3）年には、現在の東京・八重洲に「港屋絵草紙店」を開店して売り出しました。夢二の図案による千代紙、絵封筒、巻紙、浴衣、半襟、帯などを店頭に並べ、女性たちのハートをつかみました。西欧の美術様式も採り入れながら、ハイカラで趣味の良い小物類を提案した夢二は大正時代、“かわいい”にいち早く注目していました。
“かわいい”小物類にとどまらず、夢二はグラフィックデザイナーとして、モダンで洗練されたポスターや広告、ブックデザインも手掛け、幅広く活躍しました。
写真の図版は、老舗果物店・銀座千疋屋が刊行した小冊子「fruits」29（昭和4）年11月号の表紙絵です。夢二は明るい色彩とシンプルな形状で果物を図案化し、企業名や雑誌名にアルファベットを用い、スタイリッシュな「描き文字」を組み合わせて、都会的な果物店のイメージを表現しました。
さまざまな図案を残した夢二ですが、そこにはタイトルなどの文字情報を伴うことが多く、視覚的効果を踏まえたオリジナルのレタリングで紙面を飾りました。クリエーティブな発想により創り出された多種多彩で個性的な「描き文字」の数々からは、これまでとは趣の違う、夢二の新たな魅力を発見できます。
《竹久夢二美術館学芸員・石川桂子》 |
◆ 「竹久夢二 描き文字のデザイン —大正ロマンのハンドレタリング—」展 ◆
6月25日（日）まで、竹久夢二美術館（地下鉄根津駅徒歩7分）で。
ポスターや書籍装丁、雑誌・楽譜表紙絵などの図案に展開された、夢二による「描き文字」のデザインを紹介。ハンドレタリングで表現された個性的な文字に注目し、コンピューターでの制作とは異なる「描き文字」ならではの魅力に迫っている。
一般1000円。月曜日休館。同館 Tel.03・5689・0462 |
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