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戦前から戦後にかけて美しさを追求したライフスタイルを提案し、女性から圧倒的に支持された中原淳一。その中原に見いだされ、日本初の男性料理研究家としてNHK「きょうの料理」などで活躍した牧野哲大さん(79)が、この春、自身の人生を愛用品とともに記した著書「エプロンおじさん 日本初の男性料理研究家 牧野哲大の味」(高原たま編著・国書刊行会)を出版した。また牧野さんは、6月からそごう美術館で開催される「生誕100周年記念 中原淳一展」の期間中、恩師との思い出を語る講演会を行う予定だ。
母の影響を受け、少年のころから雑誌「それいゆ」の世界に憧れていた牧野さん。栄養学校を卒業後、中原さんの勧めによって「ジュニアそれいゆ」などの料理のページを手伝うように。
「中原さんは、一見、実用的ではないけれどあると楽しい、ぜいたくだけど精神の励みになるものがお好きでした。お家にはいつもお花屋さんぐらいたくさんのお花がありましたね。奥さまもすてきな方でした」と過日を懐かしむ。
牧野さんは、6月20日(木)にそごう美術館で記念講演会「中原淳一先生との思い出」を開催する。これは、6月1日から同館で開催する「生誕100周年記念 中原淳一展」との連動企画だ。
裕福でなくても、西洋風の屋敷に住んでいなくても、「楽しく、美しく生活する」ことを推奨し続けた中原淳一。それまで実用一辺倒だった料理のページに、花やろうそくなどで食卓を飾るテーブルコーディネートを提案したのも中原で、その時、料理とスタイリングを担当したのが牧野さんだ。その後、牧野さんはすぐ売れっ子に。まだ“シェフ”や“パティシエ”という言葉もなく、「男が料理なんて」という声もあったが、1962年からはNHKのテレビ番組「きょうの料理」にも出演し、初の男性料理研究家として活躍。当初、テレビ局からはエプロンではなく白衣で、と厳しく言い渡されていたが、実力で納得させ、結果、カラフルなエプロン姿は牧野さんのトレードマークに。その下りは新著に詳しい。
同書には、昔なつかしいマカロニグラタンなどのメニューや、ヨーロッパの食卓で学んだことなども記した。
「初めてヨーロッパに旅行したとき、どんなカフェでもレストランでもテーブルクロスをひいて、“うちが一番おいしい”という気迫にあふれているのに驚きました。料理は気迫。喜んでもらおうという気持ちで作るものなんですよ」と熱く語る。
牧野さんの自宅には、若いころから集めてきた食器のコレクションがずらり。テレビの出演料より食器の方が高いこともしばしばだったようだが、「欲しいものを買うために頑張って仕事をしているんだもの!」と、まったく意に介さず。著書の巻末には、「散財をめぐる夫婦放談」も収録。食器好きは必読だ。
現在、牧野さんはフランス人形作家としても活躍している。これまで銀座・和光で9回個展を開催しており、来年にはその集大成としてフランス・パリのギャラリーで個展を開催する予定だ。美しいもの、楽しいものを追求した中原淳一のスピリッツは、牧野さんの中にしっかりと受け継がれている。 |
裏表紙原画(『きものノ絵本』)(部分) 1940年
©JUNICHI NAKAHARA/ひまわりや |
生誕100周年記念 中原淳一展
6月1日(土)〜7月15日(月・祝)、そごう美術館(JR横浜駅直結・そごう横浜店6階)で。一般1000円。問い合わせはTEL.045・465・5515
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牧野さんの記念講演会は、6月20日(木)午後2時、同館で。参加費500円・別途入館料が必要。先着60人。 |
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